上陽郡主 王儇(おう・けん)は中国ドラマ「上陽賦」のヒロイン。
王儇を演じるのはハリウッド映画でもおなじみのチャン・ツィイー。中国の連続テレビドラマでは初主演です。
王儇は皇帝の姪。父は丞相、母は皇帝の妹という名門のお嬢様。ところが武将の蕭綦と結婚することになったことから大きく人生が変わります。
上陽賦は架空の王朝が舞台のドラマですがモデルになった国や人がいます。
上陽郡主 王儇のモデルになった人物は実在します。宋武帝 劉裕の正室 臧愛親(ぞう・あいしん)と文穆皇后 王憲嫄(おう・けんげん)です。
ドラマに登場する上陽郡主 王儇とそのモデルになった人物を紹介します。
王儇(おうけん) 周辺の相関図
ヒロイン王儇の人間関係は複雑なので関係者の相関図を載せておきます。
上陽賦の上陽郡主 王儇
声:魏涼子(ぎ りょうこ)
王儇(おう・けん)
幼名:阿嫵(あぶ)。
称号:上陽郡主 → 豫章王妃
名門貴族・琅琊王氏(ろうやおうし)の一族。
家族
母は皇帝の妹の馬瑾若(ば・しじゃく)叔母(父の妹)は王皇后。
伯父(母の兄)は皇帝 馬曜
両親ともに皇帝一家と縁続きの超良血のお嬢様。
上陽郡主(じょうようぐんじゅ)という称号をもらっています。
王儇は皇帝からも可愛がられていました。
第三皇子 馬子澹(ば・したん)は幼なじみで将来結婚したいと思っています。
でも父は皇太子と政略結婚させようとします。宮中の陰謀によって馬子澹と引き離された王儇は蕭綦(しょう・き)と政略結婚することに。
ところが蕭綦は辺境で問題が起きたので出かけてしまい、結婚式をドタキャンしてしまいます。
はじめは蕭綦が気に入らない王儇でしたが誤解も解け。戦乱の世を終わらせたいと願う蕭綦の気持ちを理解して次第に惹かれ合います。
世間知らずな名門貴族のお嬢様でしたが蕭綦との結婚で世の中の現実を知り、蕭綦と力を合わせたくましく生きてゆきます。
王儇(おうけん)のモデル
ドラマの国「大成」のモデルになったのは「東晋」という国。
三国志の時代を統一したのが司馬氏の「晋(西晋)」でした。その晋は内紛や異民族の侵入で滅亡。逃れた王族が再建したのが「東晋」です。
モデルその1:宋武帝 劉裕の正室 臧 愛親(ぞう・あいしん)
その東晋時代の末期に活躍して「宋(劉宋)」を建国したのが武帝 劉裕(りゅう・ゆう)。
ドラマで王儇と結婚するのが蕭綦(しょう・き)。蕭綦のモデルが劉裕です。
じゃあ劉裕の妻が王儇のモデル?となりますよね。
劉裕の正室は 臧 愛親(ぞう・あいしん)。
臧 愛親は東晋の役人・臧俊の娘。劉裕が東晋の軍人として反乱軍と戦っていた時代に結婚しています。臧氏は地方の役人ですから名門ではありません。一族も高い地位には就いていません。
劉裕が宋(劉宋)の皇帝になる前に死亡したので臧 愛親は皇后にはなってません。死後「武敬皇后」の称号が送られています。
ドラマの王儇は皇帝と親戚なので臧愛親とは程遠いイメージですね。
娘の劉荣男は気性が荒かった
劉裕と臧愛親の間には 劉荣男(りゅう・ていだん)という女の子が生まれました。荣男という名前ですが男ではありません。その証拠に「呉興公主」という称号をもらってます。男の子がほしかったのでしょう。
娘は彼女の夫をムチ打ち:皇帝の娘は怖い
名前のせいなのかわかりませんが。劉荣男はかなり気性の荒い女性だったみたいです。
夫の王偃を裸にして鞭打ったことがあります。皇帝の娘なのでやりたい放題だったのでしょうね。
モデルその2 皇帝の親戚 文穆皇后 王憲嫄(おう・けんげん)
王儇の超良血のお嬢様のイメージはどこからきたのでしょうか?
そのヒントは王儇が琅邪王氏(ろうやおうし)という名門貴族出身なところ。琅邪王氏は実在した一族です。
王儇の両親は
- 父:丞相
- 母:皇帝の妹
王氏にそんなお嬢様はいるのでしょうか?東晋ではないのですがそのあとの劉宋の時代に王儇の家族構成とよく似た人がいます。
王憲嫄(おう・けんげん)です。
- 父:王偃(おう・えん)。
劉宋4代皇帝・孝武帝の時代の丞相 - 母:呉興長公主 劉荣男(りゅう・えいだん)
宋武帝 劉裕の次女。宋文帝の妹。
劉荣男の母は「モデルその1」で紹介した臧愛親。
丞相の王偃は妻・劉荣男に鞭打たれた男。皇帝の娘を妻にすると大変みたいですね。
王憲嫄が結婚したのは第三皇子の武陵王 劉駿(りゅう・しゅん)。二人の仲は良かったようです。
その後、文帝は皇太子 劉劭に殺害され国内が乱れますが。その劉劭を倒して皇帝に即位したのが夫の武陵王 劉駿。
夫の劉駿が孝武帝になりました。
王憲嫄は皇后(文穆皇后)になります。
孝武帝 劉駿の死後。息子の劉子業(りゅう・しぎょう)が即位。王憲嫄は皇太后になりました。でも38歳という若さで病死しています。
生い立ちは似てますが結婚相手やその後の人生はかなり違います。
製作者が意識しているのは間違いありません。
名前も似てますし。
王憲嫄 + 臧愛親 = 王儇
「上陽賦」の王儇は名門貴族の王憲嫄と地方役人の娘で武将と結婚した臧愛親を足したような人物。しかも王憲嫄は臧愛親の孫です。モデルになった人物が祖母と孫になっているのも面白いですね。
ちなみに「上陽賦」の原作小説「帝王業」では王儇は平和になった後、夫の蕭綦と息子を残して病死しています。蕭綦は亡き妻を一途に思いつつ、息子が成長するまで王としての役目を全うしました。モデルになった臧愛親や王憲嫄が若いときに病死してるのでそのようなストーリーになっているのでしょう。
でもドラマ「上陽賦」のラストは原作小説とは違います。ドラマの王儇=チャン・ツィイーは死にません。二人がラストどうなるのかはドラマを見てのお楽しみ。
まとめ
上陽賦の主人公・王儇のモデルは東晋・劉宋時代の2人の女性がもでるになっているようです。
- 臧愛親:武帝・劉裕の正室。若くして亡くなったことから原作版「帝王業」王儇の早逝という設定につながっています。
- 王憲嫄:丞相の娘で皇帝の妹を母に持つなど、王儇の華麗な生い立ちと共通点が多いです。
ドラマの王儇はこれらの女性たちの要素を組み合わせ、名門貴族の優雅さと政治的な力強さを併せ持つ魅力的なキャラクターとして描かれています。
特に王憲嫄の生涯は王儇が政治に深く関わり、皇后となる可能性を示唆していたと言えるでしょう。
ポイント:
- 王儇は、歴史上の実在の人物をモデルにしながらも、ドラマオリジナルの要素が加えられ、より魅力的なキャラクターとして描かれている。
- 王儇のモデルとなった女性たちの生涯は、ドラマのストーリー展開に大きな影響を与えている。
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