ドラマ「蘭陵王」のヒロイン・楊雪舞(よう せつぶ)は実在したのでしょうか?それともドラマのために生み出された人物なのでしょうか。
結論から言うと楊雪舞は歴史上の記録には登場しません。雪舞はドラマのために用意されたオリジナルのヒロインなのです。
でも架空と分かっても、楊雪舞と高長恭の恋の行方は気になりますし。宇文邕との複雑な関係も見逃せません。
この記事では史実に残る蘭陵王・高長恭の妻の記録をもとに、楊雪舞が実在しない理由やドラマ「蘭陵王」の中で彼女がどんな人物として描かれているのか紹介します。
この記事で分かること
- 楊雪舞が史実に存在しない理由
- 実在した蘭陵王妃・鄭氏との違い
- ドラマで描かれた天女の意味
- 高長恭・宇文邕との関係が物語に与えた影響
楊雪舞(よう せつぶ)は実在する?
楊雪舞は実在しない
史実の高長恭は北斉の皇族で実在の将軍です。彼には正室がいた事は分かっていますが、残念ながら楊氏ではありません。
側室や周辺の人物に楊雪舞という女性がいたという記録もありません。
楊雪舞は架空の人物なのです。ちょっと残念な気もしますが、ドラマを盛り上げるために創作された人物と割り切って楽しむのが良さそうです。
史実の蘭陵王の正妻は鄭氏
史実の蘭陵王妃は「鄭氏」です。
ドラマの雪舞と彼女を結びつける共通点はないため、あくまで別人。
むしろ雪舞のライバル・鄭児の名前の元ネタになったと思われます。
史実の鄭氏は蘭陵王を深く愛していて、夫の死後に大変悲しむ様子が記録されています。鄭児とも楊雪舞とも違うタイプの女性だったようです。
ドラマ「蘭陵王」の楊雪舞
なぜ狙われる?ドラマの「天女」とは
ドラマの中で雪舞は「天女」と呼ばれ、各国の権力者から狙われます。これは超自然的な存在としての天女ではなく、白山村に伝わる特殊な予知能力を持つ人のことです。
天女の血を引く女性は戦乱の行方や王朝の興亡、時の権力者の死といった、歴史を揺るがす大事件を予知できるとされています。
そのため一族は常に権力者から目をつけられ。政治の道具として利用されやすいのです。
雪舞が高長恭と結婚するまでの経緯
雪舞と高長恭が正式な夫婦になるまでには、いくつもの大きな山場がありました。
二人の始まりは白山村の近くで起きた偶然の出会いでした。追われる身の雪舞と任務中の高長恭。このときはまだお互いの正体を知りません。だから目の前にいる一人の男性として真っ直ぐに見つめたのです。
その後、闇娼館での再会や仲間の救出といった困難を一緒にくぐり抜ける中で二人の絆は信頼へと変わっていきました。
4話では尉遅迥から逃れるために新婚夫婦を装って女媧廟で誓いを交わすシーンがあります。これは偽装ですから本当の結婚ではありませんが。すでにこのときにはいい雰囲気になっています。
でも高長恭は皇族ですから結婚には高いハードルが立ちはだかっていました。それでも雪舞はそばにいる覚悟を決めます。高長恭も皇帝からの疑いの目や鄭児が仕掛ける執念深い罠から彼女を守ろうとします。何度も引き離されそうになりなますが、二人の心が折れることはありません。
こうした試練を乗り越えて、ようやく第19話で正式な婚礼の日を迎えました。ささやかな婚礼ですが、皇太后の許しを得て雪舞が高長恭の正妻となったのです。
正妻・雪舞を追い詰めた3つの火種
晴れて夫婦となった二人ですが幸せな時間は長く続きません。彼らを追い詰めたのは醜い周囲の感情でした。
- 皇帝・高緯の嫉妬:
高長恭が戦場で功績を挙げて民衆に支持されるほど、疑り深い皇帝・高緯は「いつか自分を脅かす存在になるのでは」と彼を警戒するようになります。 - 宮廷内の陰謀:
皇帝の警戒心を利用して高長恭を失脚させようとする側近や後宮の人間たちが、妻の雪舞にも牙を剥きます。 - 鄭児の異常な執着:
高長恭を独占したい鄭児は、正妻である雪舞を排除しようと、残酷な罠を次々と仕掛けてきます。
こういった妨害があるので雪舞は正妻になっても常に命の危険にさらされることになるのです。
高長恭との愛はどうなる?雪舞の最後は?
終盤:死を偽装した蘭陵王と「仮面の義士」
36話で蘭陵王が皇帝 高緯から毒酒を賜り、世間的には死んだことになります。
絶望する雪舞の前に現れたのは正体不明の「仮面の義士」。見てる側としてはその男が蘭陵王だと分かりますが、雪舞も残された白い帯などの手がかりから正体に気づいて、涙の再会を果たします。
最終回:雪舞の最期
雪舞は蘭陵王を守るため仮面の義士を装って悪女・鄭児(馮小燐)を捕らえます。そこへ駆けつけた蘭陵王が鄭児を殺そうとしますが、皇帝・高緯が二本の矢を放ちます。
一本は雪舞に、もう一本は鄭児に命中。
高緯は倒れた鄭児を抱きかかえ、毒を飲んで自ら命を絶ちました。雪舞も瀕死の状態。そして最愛の蘭陵王の腕の中で静かに息を引き取るのでした。
ドラマは雪舞が蘭陵王を守って身代わりになるという、切ない終わり方でした。
宇文邕との関係は恋を超えた絆
北周の皇帝・宇文邕は蘭陵王の最大のライバル。楊雪舞を政治的に利用しようとしますが、やがて単なる敵とはいえなくなります。
宇文邕が天女を欲しがったのは「愛」ではない
北周の皇帝・宇文邕が楊雪舞を執拗に求めた理由ははっきりしています。天女の持つ予言の労力が目的です。彼は皇帝として天下統一を成し遂げるため、「負けないための判断材料」として彼女の予知能力を欲しがりました。
最初は彼にとって楊雪舞は恋愛対象ではなく、自国を勝利に導くための道具だったのです。
命がけの救出劇が変えた二人の距離
宇文邕の楊雪舞への見方が変わるきっかけは雪舞本人の態度でした。
雪舞は敵国の皇帝である自分を前にしても彼女は決して媚びるような真似をしません。自分の予知能力を取引材料にして身の安全を図ることもしません。雪舞の行動は、いつでも高長恭を守ることを最優先にしています。そんな彼女の姿は宇文邕にとって予想外でした。
また、雪舞を意識するようになった裏には、宿敵・高長恭の存在も大きく影響しています。敵国の将軍とはいえ、民を想い無駄な犠牲を避けようとする高長恭の生き方は、どこか自分に近いと気づきます。
雪舞が命がけで守ろうとしているのは、高長恭という一人の人間そのものなんだと思うようになります。
ドラマの中盤以降は宇文邕は雪舞への個人的な好意を自覚しますが、その想いを無理やり押し通すことはありませんでした。雪舞が高長恭と一緒にいたいと望めば雪舞の意思を尊重して、雪舞が高長恭を解放します。
周の妃になった楊雪舞
高長恭の死後(実際には生きていますが世間的には死んだと思われている)。宇文邕は雪舞を妃として迎え入れようとします。雪舞はそれを受け入れますが、その理由は高長恭の手紙を読んだからです。
結局は宇文邕は雪舞を得たというより、高長恭の言葉に従った雪舞の居場所になっただけともいえます。
周の武帝 宇文邕に楊雪舞という側室がいたというのも架空です。
宇文邕には楊雪舞に似た境遇の側室がいた
ただし史実の宇文邕は北斉の南陽王 高綽の死後。高綽の妻・鄭姫を側室として迎え入れました。
北斉を滅ぼした後になりますが、敵国の皇族の妻を後宮に入れるのは当時としてはあってもおかしくない出来事です。宇文邕は鄭姫を寵愛したといいますから、楊雪舞と被ります。
ドラマの楊雪舞のような存在が、まったくありえない話ではないのです。
蘇った高長恭と楊雪舞を託す
ドラマ終盤。罠にはまった雪舞と宇文邕を救い出したのは、仮面で顔を隠した蘭陵王でした。
この事件を通じて宇文邕はライバルが生きている事を知って複雑な想いになりますが、二人を助けることになります。
雪舞にとっても宇文邕は敵国の皇帝とはいえ、どこか信頼できる不思議な存在となっていきました。
宇文邕の最期:華北統一と残された毒
宇文邕はその後、悲願だった北斉の滅亡を成し遂げ華北を統一します。
しかし、その栄光も長くは続きませんでした。かつて盛られた毒が彼の身体を蝕んでおり、統一という大業を成し遂げた直後に彼はこの世を去ります。
雪舞との恋が成就することはありませんでしたが、彼は歴史の勝者にはなりました。
恋には勝ったが歴史的には負けた高長恭とは対照的です。
まとめ
楊雪舞が歴史の中に実在したのかという疑問を入り口に、ドラマと史実の違いを追いかけてきました。
- 楊雪舞はドラマ独自のヒロイン。史実にはいないからこそ、あの自由で真っ直ぐなキャラが成立しました。
- 雪舞の最期は身代わりの死:蘭陵王を救うために自分の命を捧げる結末を選びました。
- 宇文邕は愛すべき宿敵:楊雪舞・高長恭とは三角関係になった宇文邕でしたが、二人の関係を知り、一歩引いた立場から見守る事を選びました。
楊雪舞はドラマが作り出した架空のヒロインには違いありません。でも楊雪舞という存在がなければドラマ『蘭陵王』はここまでドラチックな物語にはならなかったでしょう。
どこまでが本当で、どこからが創作なのかを知った上で改めてドラマを見返してみると、以前とはまた違った楽しみ方ができると思います。
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