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豫章王 蕭綦(しょうき) 大王のモデルになった劉裕の史実

上陽賦 豫章王 蕭綦のモデル劉裕 d ドラマ紹介

ドラマ「上陽賦」で人気の武将、豫章王 蕭綦(よしょうおう・しょうき)。そのモデルになったのは中国南朝宋の初代皇帝・劉裕です。

ドラマの蕭綦は低い家柄から戦場で頭角を現し、名門貴族との政略結婚を経て国難を救う英雄へと成長します。

一方、史実の劉裕も低い家柄から戦いの中で出世。権力争いを勝ち抜いて国の権力を掌握。新しい王朝を築いた実力者でした。

この記事では魅力的なキャラクターでの蕭綦と、そのモデルとなった劉裕の生涯を詳しく解説。

ドラマと歴史を比較しながら、二人の人物像に迫ります。

 

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ドラマ「上陽賦」の豫章王 蕭綦とは

豫章王 蕭綦

身分の低い家出身の武人。若いころ生活のために軍に入りました。

勇気と決断力を持つ人物。戦場で手柄をたて軍を率いるまで勢力を拡大。蕭綦の武力には都の貴族も注目。彼と政略結婚をむすび自分たちの勢力に引き込もうとしています。

蕭綦(しょう き) 周辺の相関図

ドラマジョバ版の関係者の相関図はこのとおり。

上陽賦 相関図

上陽賦 相関図

 

結婚式をドタキャン

蕭綦との結婚にこぎつけたのは琅琊王氏でした。蕭綦は名門貴族の娘・王儇と結婚が決まりました。

結婚式の当日、辺境で緊急事態があったので結婚式をドタキャンして戦場に向かってしまいます。花嫁衣装を着た王儇はひとり取り残されてしまいます。

その後しばらくは王儇から嫌われていましたが、やがて蕭綦と王儇はお互いに心を通わせ、共に人生を切り開いていこうとします。

そして王朝内の皇位を巡る争いや、北方の突厥系の賀蘭族との争いなど。二人で様々な困難に立ち向かうのでした。王朝をゆるがす王藺の乱を鎮圧後。王儇とともに静かな余生をおくります。

原作では皇帝に即位

「上陽賦」の原作小説「帝王業」では蕭綦は最終的に自分が皇帝になります。

でもこのドラマでは外敵や反乱勢力を倒して王朝を守った後は引退。自分が皇帝になることはありません。

中国の歴史では、そこまでの力があったらダメな皇帝を廃して自分が皇帝になるのですけどね。どうもテレビ化するときには変更しなければいけなかったようです。

そういえば現在の中国で作られている時代劇は臣下が君主を倒して新しい王朝を作る「下剋上」がありません。今の中国ではTVドラマにも検閲があります。小説からTVドラマ化されるときには当局からシナリオを変更するよう要求されることがありますから問題があったのかもしれません。

 

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豫章王 蕭綦 のモデル 劉裕

豫章王 蕭綦のモデル劉裕

低い家柄出身の兵士

豫章王 蕭綦(しょう・き)のモデルになったのは5世紀の中国南朝の 宋(劉宋)を建国した劉 裕(りゅう・ゆう)。

中国南朝 普(東普)の時代。

地方役人の子に生まれた劉裕は子供のころから貧しい暮らしをしていました。成長して軍に入り。五斗米道の孫恩(そん・おん)が起こした反乱の鎮圧に参加します。

このころ東普の朝廷内でも権力争いがおきていました。皇族の司馬道子(しば・どうし)と貴族の桓玄(かん・げん)が対立。

桓玄が司馬道子を殺害して朝廷の権力を握ります。劉裕は桓玄の配下になりました。

戦場で活躍して重臣の仲間入り

ところが桓玄は安帝 司馬徳宗を廃して自分が皇帝と名乗りました。

劉裕は仲間を集めて桓玄を討つため挙兵。劉裕は桓玄を破って安帝を再び皇帝にしました。劉裕は功績で鎮軍将軍・都督十六州諸軍事になり。朝廷でも大きな発言力を得ます。

鮮卑の慕容氏が建国した南燕が国境を超えて略奪を行ったので南燕攻略を進言。半年かけて南燕首都の広固城を攻め落としました。

ところが劉裕が南燕と戦っている間に五斗米道の盧循が広州から攻めてきました。劉裕は急いで鮮卑の捕虜3千人を生き埋めにして急遽、首都の建康に戻りました。劉裕は盧循と戦って撃破。建康を守りました。

粛清を繰り返し権力を手にする

その後、劉毅や謝混たち政敵を殺害。朝廷内で最も大きな力を持ち、「宋王」の爵位を与えられました。

隣国の後秦を攻めて首都・洛陽を陥落させたり、長安を占領。でも夏の赫連勃勃によって長安は奪い返されました。

長安は失ったものの国内外の敵を排除。劉裕に対抗できる者はもういません。

419年。劉裕は安帝を暗殺。安帝の弟・司馬徳文(しば・とくぶん)を新しい皇帝(恭帝)にしました。

皇帝を殺害して宋(劉宋)を建国

そして420年。恭帝から皇帝の座を奪い、劉裕が皇帝(武帝)になりました。

普(東普)は滅亡。宋(劉宋)が建国します。

中国史年表

 

建国して間もない422年。武帝 劉裕は死去。享年59歳。

長男の劉義符(りゅう・ぎふ)が次の皇帝になりました。

劉裕は低い家柄の出身でしたが、様々な戦いで手柄をたてて昇進。重臣の仲間入りをしました。南燕や後秦を呼ぼろし、国外の敵対勢力との戦いでも功績をあげる一方。国内でも容赦ない粛清を行い政敵を次々に排除。

最終的には安帝を殺害、あとを継いだ恭帝から皇帝の座を奪って自分が皇帝になります。その恭帝も殺害しました。

戦いには強いけれども野心家で冷酷な皇帝の印象が強い人物です。そういう人物だからこそ、格の低い一族から皇帝になれたのでしょう。

宋(劉宋)の建国者

自身の皇帝の期間は短かったのですが、息子たちがあとを継ぎました。この武帝 劉裕が作った国が宋(劉宋)です。

劉一族が皇帝になっても昔からの貴族、王氏や謝氏などの大貴族は力を持っていました。宋(劉宋)は貴族の力を削って皇族が軍事力を持つ国にしました。

しかしその宋(劉宋)もわずか59年で滅亡。非常に不安定な時代です。

 

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「上陽賦」の蕭綦は皇帝の座を奪わない「いい」劉裕

蕭綦はいい劉裕

ドラマ「上陽賦」の蕭綦は低い家柄から戦いで出世、朝廷の名門貴族からも一目置かれる存在になり「王」の爵位も得ました。国内や国外の敵との戦いでも実績を残します。

でも蕭綦は劉裕の冷酷非情な部分はありません。自分が皇帝を殺害したり皇帝の座を奪ったりはしません。政敵を倒しても皇族を皇帝につけて自分は権力の座から遠ざかります。

宋懷恩は闇の劉裕?

その代わりと言っては変ですが。蕭綦の部下の宋懷恩は最後に反乱を企て、自分が皇帝になろうとします。でも蕭綦に敗北しました。

劉裕から残酷な部分を削って「いい人」にしたのが蕭綦。

劉裕の裏の顔が宋懷恩と言えるかもしれません。

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蕭綦を演じたのは渋いジョウ・イーウェイ

演:周一囲(ジョウ・イーウェイ)
他の出演作:長安24時:龍波、海上牧雲記:碩風和葉、蒼穹の昴:梁文秀 ほか

蕭綦を演じたのはジョウ・イーウェイ。

渋い演技が評判の高い俳優さんです。
「長安24時」でテロリストの首領・龍波を演じていた人。
上陽賦でも「大王や豫章王がカッコいい」という意見をよく見ますね。

日本語吹き替え版の声は阪口周平が担当。NHKのアジアドラマの吹き替えではよく出ていますね。
声:阪口周平(さかぐち しゅうへい)
他の出演作:王女ピョンガン:オン・ヒョプ、奇皇后:タプジャヘ ほか

 

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まとめ

ドラマ「上陽賦」の蕭綦は低い身分から実力と武力で頂点に駆け上がった人物。

歴史上のモデルは、宋王朝を建国した劉裕です。

劉裕は冷酷な側面もありましたが、蕭綦は民を思い穏やかな人物として描かれています。

ドラマでは劉裕の野心的な部分を部下の宋懷恩に投影し、蕭綦は理想的なリーダーとして描かれている点が特徴です。

蕭綦と劉裕を比較するとドラマがさらに面白くなると思いますよ。

 

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