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三国志 秘密の皇帝は実話?結論と史実の違いを紹介

 

『三国志 秘密の皇帝』を観ていて「これって史実なの?それとも完全に創作?」と気になった人も多いはずです。

このドラマは実話ではありません。原作小説『三国機密』由来の大胆な設定が軸になった架空の物語です。

この記事では「双子の皇帝」という大胆な設定や、実在の人物や実際に合ったこととなかったことを整理。史実との違いを分かりやすく紹介します。

この記事で分かること

  • 本作が「実話ではない」と言い切れる理由(双子の皇帝設定)
  • 実在人物と架空人物の見分け方(劉平・任紅昌などの立ち位置)
  • 史実とドラマの違い(司馬懿との関係、皇后たちの描かれ方、曹丕の悪役化など)
  • 後漢末期の時代背景と、物語が動き出す時期の位置づけ(許都・官渡前後)

 

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三国志 秘密の皇帝は実話ではない

実話ではない最大の理由は双子の皇帝

『三国志 秘密の皇帝』は時代劇ですが内容は架空です。原作は馬伯庸の小説『三国機密』で「漢の最後の皇帝・献帝は双子だった」という大胆な設定です。

史実の献帝・劉協に双子の弟がいた記録は一切ありません。『後漢書』や『三国志』にも双子の記載はなく、弟の劉平は架空のの人物です。

ドラマでは病で亡くなった献帝・劉協のあとを継いで弟の劉平が「皇帝の影武者」として宮中に入ります。

さらに任紅昌の正体が『三国志演義』に出てくる美女・貂蝉だと明かされる回もあります。

貂蝉は小説『三国志演義』のキャラクターで正史には登場しません。他にも史実と違う点はありますが後ほど紹介します。

このように「双子の皇帝」設定や「貂蝉の登場」など架空の要素も多い作品です。正史ではなく、三国志演義+オリジナル色の強い作品です。

 

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実在人物一覧

ドラマに出てくる主要人物のなかで実在する人物を紹介します。

実在する人物

献帝 劉協(けんてい・りゅうきょう)
後漢14代目で最後の皇帝です。
幼くして即位。董卓や曹操に主導権を握られました。
ドラマでは登場場面はごくわずかですが。自分の亡きあとは弟を身代わりにして曹操に対抗する案を考えました。

詳しくはこちら
献帝 劉協:乱世に翻弄された漢最後の皇帝

曹操(そうそう)
後漢末の軍人・政治家で魏の礎を築いた人物です。
献帝を保護して許に迎え実権を集中させました。ドラマでは圧倒的なカリスマで皇帝の前に立ちはだかります。

司馬懿(しばい)
のちに晋王朝を開く司馬一族の重要人物。若い頃は曹操に仕え魏で頭角を現しました。
ドラマでは劉平と一緒に育った幼なじみで、冷静な軍師タイプとして描かれます。唐瑛が好き。

伏寿(ふくじゅ/伏皇后)
史実では献帝の皇后で父は高官の伏完です。
史実では夫を救おうとして曹操に反発し、幽閉され悲劇的な最期を迎えました。
ドラマでは替え玉計画の中心人物で、漢王室再興を目指します。のちに劉平の相棒になります。

詳しくはこちら
伏寿の生涯・献帝とともに生きた三国志の悲劇の皇后とは?

弘農王妃 唐瑛(とうえい)
モデルは少帝・劉弁の妻「唐姫(弘農王妃)」。
史実では若くして皇帝の座を奪われた夫を支えた名門出身の妃でした。
ドラマの唐瑛は少帝の霊廟を守って余生を過ごしている姿が描かれますが。その正体は西園軍の女刺客。中盤以降、刺客としての活躍が多くなります。

詳しくはこちら
唐瑛のモデル・唐姫(弘農王妃)の史実

郭嘉(かくか)
曹操の腹心として知られる天才軍師です。
史実でも病弱ですが鋭い策で曹操を支え「鬼才」と呼ばれました。
ドラマでも誰もが恐れる策士として描かれます。劉平の資質や計画も冷静に見抜く鋭い観察者としての一面もあります。

曹丕(そうひ)
曹操の息子でのちの魏の初代皇帝です。
ドラマでは野心を隠して育つ次男として登場、父を越えようとして暴走していきます。
史実では献帝から皇位を奪い後漢を終わらせました。

詳しくはこちら
曹丕(魏文帝)曹操の息子は司馬懿とともに皇帝の座をを掴んだ

曹節(そうせつ)

曹操の娘で史実では献帝の皇后になった人物です。
父の娘として皇帝と曹家の橋渡し役を担いました。
ドラマでは劉平を慕う少女として描かれ、劉平を支える立場に回ります。

賈詡(かく/字・文和)
三国時代きっての「毒士」と呼ばれた参謀です。董卓・李傕・曹操ら複数の主君に仕えました。
ドラマでは漢室に忠誠を誓いながら、その時々で最善の策を行う人物として描かれます。

荀彧(じゅんいく)
曹操を支えた名臣で「王佐の才」と評された人物です。
名門出身で人材を集める力にも優れていました。
ドラマでも曹操の右腕として登場。皇帝への忠誠心も高く、入れ替わった皇帝にも忠実に使えて板挟みになってしまいます。

董太后(とうたいごう)
後漢・霊帝の皇后で、献帝の祖母にあたる女性です。
皇帝の外戚として強い立場を持っています。。

満寵(まんちょう)
許都の県令。満府君と呼ばれています。
任務に忠実で皇帝の素性を怪しみます。

楊修(ようしゅう)
名士・楊彪の息子で、頭脳明晰な文官です。
皇帝の影武者を知る人物の一人。野心家で漢王朝の復興よりも自分の権力を優先します。
史実では曹操に疑われ処刑されました。

楊俊(ようしゅん)
ドラマでは劉平が宮中に入る前の養父として登場。皇帝の影武者計画を実行する人物。
史料にも楊氏一族は登場し、漢室と関わりの深い名門として知られていました。

董少君/董妃(とうひ)
董承の娘。皇帝の妾として宮中に入ります。
史実では父の謀反に巻き込まれて命を落としました。
ドラマではより積極的な娘として描かれますが。悲劇的な最期を迎えるのは史実と同じ。

袁紹(えんしょう)
北方を支配した大勢力の当主です。
官渡の戦いで曹操と激突し「官渡の戦い」で大敗しました。
ドラマでは大勢力で野心家ですが、史実同様の結末を迎えます。

曹仁(そうじん)
曹操の一族で守備戦に強い将軍です。
史実では各地で戦い魏の武将として名を残しました。
ドラマでは独断的な行動で唐瑛を自害に追い込んでしまい、曹操の評判を揺るがす役回りです。

 

架空の人物

架空だけれども重要な人物を紹介します。

劉平(りゅうへい/献帝の双子の弟)
史書には登場しない、ドラマオリジナルの人物です。
司馬家で育ち司馬懿と兄弟同然に成長しました。
病に倒れた兄・劉協の代わりに宮中へ入り、「影武者の皇帝」として漢を立て直そうとします。

任紅昌(じんこうしょう/貂蝉)
郭嘉が連れてくる謎の美女でのちに正体が「貂蝉」と明かされます。
貂蝉は『三国志演義』の登場人物。正史にはいない伝説的な美人です。

冷壽光(れいじゅこう)
こちらも架空の人物。
名医・華佗(かだ)の弟子でしたが、兄弟子・郭嘉に巻き込まれて宦官にされました。
宮中では劉平と伏寿の側近として仕え、最後は二人を守るために重傷を負い、青囊書(秘伝の医書)を託して息絶えます。

 

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時代背景

後漢末期:献帝が曹操のサポートなしでは生きられない理由

献帝・劉協は、自分の軍隊も領土も持たない皇帝でした。名目だけは「天下の主」ですが、武力は群雄のほうが上という時代です。

  • 董卓が都・洛陽に入り、少帝を廃して劉協を献帝として即位させる。

  • その後、都を焼いて長安へ強制遷都し、実権を握る。

董卓が暗殺されると今度は李傕・郭汜ら残党が長安を支配し、朝廷は再び戦乱の中で翻弄されました。

献帝は命からがら長安を脱出し、195年、焼け野原になった旧都・洛陽までたどり着きます。しかし洛陽は戦火で荒れ果て、食糧も衣服も十分にない「さまよえる皇帝」状態でした。

そこへ現れたのが曹操です。
196年、曹操は軍を率いて洛陽に入り、献帝を保護して許(許都)へ連れていきます。新しい都・許都で宮殿や衣食住は整いましたが、その代わり、政治の実権は曹操が握るようになりました。

「曹操の庇護を受ける」ことは生き延びる代わりに、自由を手放す選択だったたわけです。

ドラマ版の歴史的背景

ドラマ『三国志 秘密の皇帝』は歴史的な経緯をそのまま再現したのではありません。

ドラマの世界では

  • 霊帝の側室・王美人が双子の男児(劉協と劉平)を出産

  • 皇后・何氏に毒殺され、兄の劉協だけが宮廷に残される

  • 劉協は董太后に育てられ、のちに献帝として即位する

  • 弟の劉平はこっそり宮外に出され、楊家の息子となり司馬家で育てられる

という「双子設定」が追加されています。

董卓の横暴や長安への遷都その後の逃避行などは、原作と史実をなぞる形で 過去にこういうことがあった と語られます。

物語が始まるのは献帝が許都に移って数年後。220年の官渡の戦いよりは前の時期。

  • 許都の外で育った劉平が都につれてこられ「お前は献帝の双子の弟だ」と真実が告げられる

ことから始まります。

しかし劉平が都に着いたとき、すでに兄・劉協は息を引き取っています。逃避行の果てに曹操へと身を寄せた献帝は、ドラマ世界では「弟にすべてを託して消えた皇帝」になっているわけです。

ここから先は史実の献帝ではなく、兄になり代わった劉平が秘密の皇帝として曹操と渡り合う物語となっていくのです。

 

史実とドラマの違い

ここからは、史実と比べて「ここがだいぶ変えてあるな」という部分を紹介します。

献帝・劉平の「双子設定」と影武者

史実の献帝・劉協に双子の弟はいません。
皇帝の身代わりとして弟が立つという話も史料には出てきません。

ドラマでは劉協が病で長く生きられないと悟り、司馬家で育った弟・劉平を宮中に呼び戻します。そして自分の死後は劉平に「献帝として生きろ」と託します。

劉平が到着した頃にはすでに献帝は亡くなってますが。兄の遺志を背負って生きていく覚悟をします。ここが作品のいちばん大胆な改変です。

 

劉平と司馬懿が一緒に育つ関係

史実の司馬懿は、曹操のもとで出世した人物です。皇帝と兄弟のように育ったという記録はありません。

ドラマでは劉平が幼いころから司馬家に預けられます。劉平と司馬懿は同じ家で育ち、兄弟同然の信頼関係を築いた設定です。

その結果「皇帝と司馬懿」が完全な他人ではなく、心の内を本音で話せる相棒のような間柄になります。

この関係は史実のイメージとはかなり違います。

 

伏寿・曹節:皇后たちが劉平に味方する

伏寿は劉協の皇后です。曹操打倒を企んだことで疑いをかけられ、幽閉されて命を落としました。

ドラマでは伏寿は劉協の計画を受け継ぎ、劉平を影武者にする計画の中心メンバーになります。劉平が影武者のせいで表向きは皇帝の劉平が伏寿の裏では命令に従う事になってしまい。本来の献帝と伏寿ではありえない関係になってます。

伏寿はドラマ終盤で曹操の圧力により皇后の座を降りますが、生き延びて劉平と再開します。

さらに史実では献帝の皇后になる曹節も、ドラマでは最初から劉平に好意を持つ娘として描かれます。曹操の娘ですが、心は劉平側に大きく傾いています。

 

唐瑛(弘農王妃)が女刺客&司馬懿との恋愛に

唐瑛のモデルになっている弘農王妃は少帝・劉辯の妻です。でも史料では暗殺者として活動した記録はありません。

ドラマの唐瑛はふだんは気品ある弘農王妃として振る舞いますが、裏では袁紹が組織した「西園衛」の殺手として任務をこなします。

さらに唐瑛は司馬懿と深い恋愛関係になります。でも彼女は任務優先、そして最期は自害して曹操軍の世間に真相を示す劇的な最後でした。

 

任紅昌(貂蝉)と郭嘉の関係

貂蝉は三国志正史には登場せず、『三国志演義』に登場する美女です。貂蝉の後半生は演義でもあまり描かれませんが。このドラマではその後の貂蝉が描かれます。彼女は任紅昌と名を変え郭嘉の恋人になっていました。子どもたちの面倒を見ながら暮らしています。

最初は郭嘉とお互いを利用し合う関係だったようですが、本気で愛し合うようになり、任紅昌の死が郭嘉の心身を追い詰める結果になっていきます。

郭嘉はもともと短命の天才軍師として知られますが、ドラマでは任紅昌を失ったショックで悪化したように描かれます。

 

曹丕がかなり悪役寄りになっている

曹丕は曹操の次男で、後に魏の皇帝になる人物。ドラマでは冷静で抜け目のない息子という印象です。

ドラマの曹丕は最初は穏やかな若者のようですが。母の策略や兄の死をきっかけに、自分の野心を優先する人物へと変わっていきます。

父・曹操に汚名を負わせても構わない、中原が戦乱に戻っても構わない、というほどの執念を見せます。史実にも野心家の一面はありますが、ここまで“破滅覚悟”で動く姿はドラマ独自の描写です。

 

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まとめ

ここまで『三国志 秘密の皇帝』の「史実と違うところ」を中心に整理してきました。

思った以上に史実と違う部分が多いと思ったかもしれません。でもだからといって作品の価値が下がるわけではありません。

むしろこのドラマは史料に残る献帝という弱い皇帝のイメージに、「もし彼が別の形で戦っていたら?」という想像を重ねた物語です。双子の皇帝やその後の貂蝉の物語など。歴史の空白や「もし」をドラマとして再現して三国志好きも楽しめる作品になったのではないでしょうか。

史実を知ったうえで観直すと、曹操や司馬懿、伏寿たちの言葉や行動がより重みをもって感じられるかもしれません。ドラマを入口に、史実の後漢末期や正史三国志・演義に触れてみるのも面白いですよ。

 

 

王朝時代劇
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この記事を書いた人

歴史ブロガー・フミヤ

著者 自画像

京都在住。2017年から歴史ブログを運営し、これまでに1500本以上の記事を執筆。50本以上の中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを正史(『二十四史』『資治通鑑』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。

詳しい経歴や執筆方針は プロフィールをご覧ください。

運営者SNS: X(旧Twitter)

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