淑嘉皇貴妃 金氏：如懿伝 金玉妍・瓔珞 嘉貴人のモデルの史実

淑嘉皇貴妃 金氏は清朝の第６代皇帝・乾隆帝の側室。

「瓔珞＜エイラク＞」では嘉貴人金氏と小嘉嬪。
「如懿傳」では 嘉貴妃・金玉妍として登場します。

なぜか「瓔珞」では嘉嬪金氏が若くして死亡した後に双子の妹・小嘉嬪が後宮入りしました。でも歴史上は妹は後宮入りはしていません。二人で一人分の人生と考えてください。

ドラマ「瓔珞」では高貴妃の手下になって陰謀をはたらく役どころでした。

ドラマ「如懿傳」では自ら陰謀をはたらき後宮内の対立を煽る存在。様々な人物を煽って、妃嬪たちを陥れたり死に追いやったります。

ドラマではあんまりよい描かれた方をすることがない淑嘉皇貴妃 金氏ですが、実際にはどうだったのでしょうか？

史実の淑嘉皇貴妃 金氏はどんな人物だったのか紹介します。

淑嘉皇貴妃 金氏の史実

どんな人？

彼女が生きたのは清王朝の第６代皇帝・乾隆帝の時代です。

日本では江戸時代になります。

家族

朝鮮から清へ、そして皇族の側室へ

淑嘉皇貴妃は非常に興味深い出自を持つ女性でした。

彼女の祖先は17世紀中頃、後金（後の清）と李氏朝鮮の間の戦争で捕虜になった朝鮮人、金三達理（キムサンダリ）です。金三達理は満州貴族の家で働き、その子孫たちは清で暮らすことになりました。

淑嘉皇貴妃の父、金三保は金三達理のひ孫にあたります。

金三保の娘 淑嘉皇貴妃は1713年に生まれました。彼女はのちに乾隆帝となる弘暦の側室となり、1727年に格格（側女）の地位を与えられます。

乾隆帝の時代に貴人になる

乾隆帝が即位すると金氏は貴人の地位に昇進しました。

その後、乾隆帝は彼女をさらに高い地位に上げたいと考え「嬪」の位を与えることを決めます。乾隆帝は、側室にふさわしい字として「令、婉、嘉、粹」の中から「嘉」を選び、彼女は「嘉嬪」となりました。

嘉妃になる

1739年には乾隆帝との間に四男の永珹をもうけました。彼女の父、金三保は娘がこのような高い地位に昇ったことを大変喜び、乾隆帝に感謝の気持ちを伝えました。

乾隆帝は金氏を「嘉妃」にしました。

嘉妃 金氏

淑嘉皇貴妃の地位向上と乾隆帝の寵愛

1745年、乾隆帝の側室の一人であった高貴妃が亡くなり、皇后をはじめとする妃嬪たちが葬儀に参列しました。

そのとき皇后が第一牛車、嫻貴妃と嘉妃が第二牛車に乗り合わせたことが記録されています。

特に注目したいのは嘉妃金氏が長春宮という、のちに皇后が住むことになる非常に格式の高い宮殿に住んでいたことです。つまり彼女は他の側室に比べて特別な待遇を受けていたことになるのです。

翌年の1746年には嘉妃金氏は第八皇子永璇を出産しました。そして1748年、再び懐妊した嘉妃を乾隆帝は「貴妃」に昇進させようとします。

同年7月には第九皇子を産みましたが、残念ながら夭折してしまいました。それでも同年12月には正式に「嘉貴妃」に冊封されました。

その後も1752年には十一皇子永瑆を産み、乾隆帝から数々の褒美を賜るなど嘉貴妃は乾隆帝から深く寵愛を受けていたことがわかります。

嘉貴妃金氏の最後

1755年2月（乾隆20年）。嘉貴妃金氏が病死。４３歳でした。

乾隆帝は葬儀の場で金氏に「淑嘉皇貴妃」の称号を与えました。このとき、皇后輝發那拉氏は出席していませんでした。妊娠中だったからです。彼女の棺はしばらくの間、賓宮に安置されていました。

ドラマで嘉貴妃 金氏と嫻妃 輝發那拉氏が敵対関係になるのはこのエピソードが元になっているのかもしれません。

清朝の記録では「温和な妃だった」と記されています。

ただし乾隆帝は何人かの側室・子どもたちに「温和」という言葉を使っています。乾隆帝の「穏やかで平和であってほしい」という願いが込められていたのかもしれません。

1757年10月（乾隆22年）。淑嘉皇貴妃の金の棺は埋葬されました。

その後。乾隆帝は淑嘉皇貴妃の実家・金氏に金佳（ギンギャ）という満州姓を与えました。金氏は満州貴族の使用人の家系ではなくなりました。貴族の家柄になったのです。

淑嘉皇貴妃の息子・永珹・永璇・永瑆の外戚を貴族扱いにするための措置でした。彼女の息子が後継者候補になっていたからだと考えられています。実際に次の皇帝になったのは皇貴妃魏氏（儀純皇后に追尊）の息子・永琰（嘉慶帝）でした。

テレビドラマの淑嘉皇貴妃

瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜

2018、中国
役名：嘉嬪金氏、小嘉嬪金氏　　演：（パン・シーチー）

第４皇子の母。高貴妃の手下。後宮内で生き延びるために高貴妃の陰謀の手先となって働きます。ところが高貴妃のライバル・嫻妃に首を締められ死亡。その後、双子の妹が後宮に入り瓔珞に敵意を持ちます。ドラマでは姉妹になってますが、歴史上は一人の人物です。

如懿傳〜紫禁城に散る宿命の王妃～

2018、中国
役名：嘉貴妃・金玉妍　　演：辛芷蕾（ジン・ジレイ）

玉氏に引き取られて育ったという過去を持ちます。玉氏の世子を愛していて、玉氏のために働こうとする意思が強いです。清の王室内で人々の対立を煽る黒幕的存在として描かれます。玉氏のモデルになったのは李氏朝鮮の王家・李氏。金玉妍が愛している玉氏の世子は朝鮮王・英祖がモデルになっています。

自ら陰謀を働くか、他の妃嬪の手下になるかはドラマによって違いますが。どのドラマでも主人公の敵として出てくるのが淑嘉皇貴妃 金氏。

ところが歴史上の金氏には意外なほどエピソードがありません。とくに波乱もなく子供にも恵まれ平穏な人生だったのかもしれません。