中国ドラマ「大宋宮詞(だいそうぐうし) ~愛と策謀の宮廷絵巻~」の紹介記事です。
1話では宋の皇帝太宗が「孫をもうけた者を跡継ぎにする」と命じ、その結果宮廷は出産と暗殺、冤罪と謀反と立て続けに事件が発生しました。
劉娥の登場も火種となり、趙元侃は皇子としての資質を問われることになります。
この記事では、1〜4話の事件の流れと各人物の思惑、史実との違いも含めて紹介します。
他のエピソードを見たい方はこちらをご覧ください。
→ 大宋宮詞(だいそうぐうし) あらすじとネタバレ全話一覧
注:この記事にはネタバレが含まれています。ご注意ください。
この記事で分かること
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太宗の「孫をもうけた者」宣言が、なぜ暗殺と疑心暗鬼を呼ぶのか
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麒児殺害〜劉娥の冤罪〜趙徳昭急死までの因果関係。
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ドラマ(毒殺・謀反・告白)と史実(自害・弾劾失脚など)の違いの見どころ
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黄河決壊で浮き彫りになる、趙元侃と他の皇子たちの統治者としての差
大宋宮詞 1-4話 各あらすじへのリンク
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第1話:後継者争いの条件となる待望の嫡子が誕生。その直後に何者かに殺害されてしまう。
第2話:劉娥は殺人容疑者となり存在を抹消される。彼女は真犯人を追って正体を隠して秦王府に潜入する。
第3話:襄王 趙元侃は皇帝を怒らせ処分を受けるが、秦王の謀反を防ぎ処分は取り消しに。
第4話:黄河決壊の現場に派遣された趙元侃は民衆の暴動を鎮める。その一方で趙元僖の賄賂と地方官の汚職が暴かれる。
大宋宮詞1話 太宗の宣言が招いた悲劇
あらすじ
北宋皇帝 太宗は「3人の息子のなかで余の孫をもうけた者を跡継ぎにする」と宣言。懐妊中の妻がいる大宋宮詞3皇子 襄王・元侃が有利に。秦王・趙廷美や第一皇子と第二皇子も不満です。
遼との戦争になり趙元侃は遼との戦いに向かいます。
その後、大地震が起き、趙元侃の妻・郭清漪は男児を出産。麒児と名付けられました。
皇宮は倒壊。太宗 趙光義は秦王 趙廷美と共に建物の下敷きになり、太宗は秦王に兄・太祖を殺害して自分が即位したことを話し、太祖の息子・趙徳昭を皇太子にすると言います。その後、太宗たちは救出されました。
趙元侃は若い女性を連れて戻っていました。その娘は劉娥。劉娥は趙元侃の命の恩人。心配になる郭清漪でしたが。劉娥が出産経験があると知り一安心。
ところが郭清漪の息子・麒児が何者かに殺害されてしまいます。
感想と解説:なぜ「孫をもうけた者」宣言が危険なのか
この宣言は表向きは「血筋が続く者を選ぶ」ように見えます。でもこれで皇子の序列や資質に関係なく誰にでも可能性が出てきました。その結果起こるのは皇子同士の必要以上の競争。何しろ条件は子がいることだけ。1話で麒児が狙われたのも、この言葉のせいです。
史実では:
史実では太宗はこのような条件は出しませんでした。長男の趙元佐を後継者にするつもりでしたが精神を病んで脱落。次男は病死。その結果三男の趙元侃が次期皇帝となったのです。
地震は「偶然」より「演出」
皇帝が生き埋めになるほどの地震なのに郭清漪は出産できました。同じ場所のはずなのに被害の差が大きいのは違和感がありますよね。
ただ、ここはリアリティよりも天変地異=王朝の運命が揺れる象徴。と考えたほうがいいかもしれません。
地震→倒壊→瓦礫の下での告白という流れは太宗の即位につきまとう疑惑を逃げ場のない状況で吐かせるための演出に見えたのですが、どうでしょうか?
劉娥の登場をどう受け止めるべきか
劉娥はヒロイン。史実でも波乱の人生でドラマよりも波乱の生涯を送った人でした。
でも大宋宮詞1話ではその前半生を省略。「遠征先で知り合った命の恩人」として登場しました。
でも1話から史実通りの重すぎる人生を再現しても見てる方も困惑しますし。これはすんなりヒロインを趙元侃のもとに連れてくる演出と割り切ったほうがいいかもしれません。
劉娥のモデルになった歴史上の章献明粛 皇后がどのような生涯を送ったかについてはこちらで詳しく紹介しています。
趙元侃の妻への気遣いゼロ問題
既婚の身で女性を連れ帰るだけでも波風が立つのに、地震の中で出産した妻への配慮が薄い。趙元侃の態度はかなり引っかかりますね。
1話の趙元侃は優しい人というより、皇子のわがままというか鈍さを強調しているように感じました。戦場から戻った直後で、感情の優先順位が狂っている。
劉娥を連れ帰ること自体が後継争いの渦に油を注ぐ行為ですし。この無神経さがのちの争いの火種になるかもしれません。
太宗の「告白」は何を意味する?
ドラマでは太宗が兄・太祖に関する重大な罪を本人の口から語ります。これは問題ですよ。
史実では、太宗が皇位継承のルールを破ったかどうかはわかりません。太宗の即位をめぐって疑いはあるものの。決定的な証拠がなく、真偽は不明のままです。
でもドラマでは太宗が限りなくクロに近い描かれ方です。
太宗の疑惑についてはこちらで詳しく紹介しています。
金匱之盟:宋太宗 趙炅の疑惑の即位
大宋宮詞2話 劉娥が死亡扱いになってしまう
あらすじ
劉娥が麒児殺害の疑いで逮捕、亡き夫の弟・蘇義簡に助けられたものの。すでに“死んだこと”にされていました。
さらに太宗は元侃に重臣・潘伯正の娘、潘玉姝との婚姻を命じました。劉娥を失って落ち込んでいる元侃はその婚姻に反発。
蘇義簡は劉娥にすぐに都から逃げるようにといいますが、劉娥は郭王妃の子を刺した女が秦王府に入るのを見ました。劉娥は蘇義簡の協力で香児と名乗り秦王府の侍女になりました。
ところが劉娥は秦王・趙廷美に気に入られまい、秦王妃も側室にと勧めます。
宮中で行われる先帝の十周忌に先帝の嫡男・趙徳昭がやってきました。ところが趙徳昭は何者かに殺されてしまいます。
感想と解説:善意が最悪の結果を有む世界
刺した本人が最悪なのは当然ですが、劉娥が郭清漪の子・麒児を勝手に外に出したせいで「なぜ危険な場所へ連れていったのか」と責められます。
劉娥は麒児を守ろうとしたのですが、とった行動が無謀な行いでした。
北宋の都は人の出入りが多く、王府の外は安全とは言い切れません。身分差が大きい社会では、説明が足りない行動はそれだけで「裏がある」と受け取られやすいです。だから善意でも結果として疑いの材料になってしまいます。
十周忌に現れた趙徳昭が殺されたのは史実通りですか?
ここは史実通りではありません。ドラマは十周忌の場で趙徳昭が殺されました。
史実の趙徳昭は太宗の親征(高梁河の戦い周辺)で皇帝擁立の動きが出たことなどから太宗に警戒され、皮肉を言われたのを恐れて自害したと伝わります。
つまり「暗殺」ではなく「自殺」の可能性が高いです。とはいえ皇帝から過剰な圧力がかかり自害に追い込まれたとも解釈できるので。太宗が殺したといえなくもありません。
大宋宮詞3話 趙徳昭との再会と急死
あらすじ
襄王・趙元侃は従兄弟の趙徳昭と再会。ところが徳昭が急死してしまいます。
趙元侃は太宗が趙徳昭を殺したのではないかと疑いますが。犯人扱いされた太宗は激怒、趙元侃を投獄してしまいます。そして寇準に調査を任せました。
ところが寇準は拉致されてしまいます。寇準は皇后から元侃を犯人にするように遠回しに言われ、寇準は太宗に元侃が犯人だと報告。太宗は元侃を庶人に落として流刑に決定しました。
元侃が追放されると知った劉娥は、徳昭殺しに秦王が関わっていると思い蘇義簡に協力を求めました。
秦王は謀反を決定。秦王妃も踊り子に扮した刺客を用意。皇宮で開かれる宴に送り込むことになりました。その踊り子に欠員が出たので劉娥が代わりに出ることになります。宴の当日。刺客が太宗を襲うと、劉娥と元侃が阻止して太宗を守りました。
元侃の降格は取り消しになり劉娥の無実も証明されるのでした。
感想と解説
史実では趙徳昭の死は「毒殺」ではなく自害
ドラマは趙徳昭を毒殺事件にして、太宗と元侃を正面衝突させました。史実の趙徳昭は『宋史』太宗本紀に「武功郡王徳昭自殺」とあり、毒殺とは書かれていません。
また趙徳昭は太祖の子。本来は太宗の次に皇位継承権がある人物でした。皇位を我が子に継がそうと考える太宗が疑われやすい立場でした。
秦王 趙廷美は本当に反乱をおこしたの?
ドラマの秦王は分かりやすい悪役として謀反を決行しました。
でも史実の趙廷美は、太宗期に弾劾が重なり、爵位や官職を削られ、最終的に涪陵県公として没したと『宋史』にかかれています。
さらに廷美の死は、太宗の長子・趙元佐が発狂した原因とされます。この史実の後味の悪さをドラマでは秦王が謀反を起こして失敗するに変更。悪者が消える展開にして後味の悪さを減らしてますね。
史実の趙廷美はこちらで紹介しています。
→ 秦王 趙廷美 の謀反疑惑と最後。北宋の皇位継承の闇
大宋宮詞4話 水害対策で皇子に明暗
あらすじ
黄河が決壊。太宗は皇太子を決めるため3人の皇子を黄河の決壊現場に派遣しました。
劉娥(りゅうが)は自分がいれば迷惑がかかると思い、趙元侃(ちょう・げんかん)のもとをさりました。元侃は派遣のついでに劉娥も探すことにします。
意思の弱い楚王 趙元佐(ちょう・げんさ)はいまいち頼りになりません。気性の荒い許王 趙元僖(ちょう・げんき)は救済金を横領した罪を官吏にかぶせて殺害。それに怒った民が暴動を起こしました。すると襄王 趙元侃(ちょう・げんかん)が自らの身体を傷つけ民をなだめました。
ようやく落ち着いたものの再び黄河が決壊。民たちは滑州城内に避難。趙元侃はなんとか被害を抑えようと補強工事を行いました。
この地方にいた劉娥も城内に避難しました。蘇義簡は避難民の中に劉娥がいることを発見します。
ところが地方の長官の汚職が発覚、許王は長官から賄賂をうけていたことがわかります。
感想と解説
許王・趙元僖は本当に駄目皇子だったの?
許王は救済金の横領を隠すために、部下に罪をかぶせて処刑しました。民から見ると「飢えた側を罰して、上が逃げる」形に見えます。だから怒りが一気に燃え上がります。
でも史実の趙元僖は『宋史』宗室伝で「沈静寡言」で、開封府尹を務めても「政事無失」と書かれます。とくに問題のあった皇子とも思えません。
ドラマの粗暴さと汚職は脚色のようです。
大宋宮詞キャスト
劉娥(りゅう・が)
演:劉濤(リウ・タオ)
趙恒(ちょう・こう)/真宗
演:周渝民(ヴィック・チョウ)
郭清漪(かく・せいい)/章穆皇后
演:斉溪(チー・シー)
李婉児(り・えんじ)
演:劉聰(リウ・ツォン)
寇準(こう・じゅん)
演:梁冠華(リャン・グァンホア)
蘇義簡(そ・ぎかん)
演:曹磊(ツァオ・レイ)

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