若蘭は「宮廷女官若曦」の登場人物。ヒロイン・若曦の姉で八皇子 胤禩の側福晋として登場します。でも馬爾泰 若蘭は実在しないドラマのために作られた人物です。かつての恋人青山との間に悲しい過去があり、最後まで八皇子には心を開きませんでした。
この記事では若蘭が架空とされる理由と、史実の第八皇子・胤禩の正妻や側室たちとの関係を紹介します。
この記事で分かること
- 若蘭が史実の人物ではなく、ドラマのために作られた理由
- 胤禩の正妻・側室として記録に残る人々や名前不明の側福晋の存在
- ドラマの若蘭の描かれ方と最後
- 若蘭が歴史の空白をもとにリアルに感じられる背景
若蘭は実在するの?
若蘭は実在しない
ドラマで若曦の姉として登場する若蘭は実在しません。公式設定でも架空とされています。
康煕帝の第八皇子は実在しますし、正妻・明慧にはモデルはいます。第八皇子には側室もいたので、若蘭の地位にある人はいたでしょう。
でも「馬爾泰 若蘭」という名前の人物や馬爾泰氏の側室がいたとは記録にありません。なのでいても不思議でなない存在ですが。作家がドラマ(小説)のために作り出したキャラクターと言えます。
妹でドラマのヒロイン若蘭も架空の人物。
若蘭についてはこちらをご覧ください。宮廷女官 若曦は実在?モデル候補を紹介
夫の八皇子は実在する
ドラマで若蘭の夫になる八皇子とは、清の康熙帝の第八皇子・胤禩(いんし)のことです。
史実でもドラマでも皇子たちの後継者争いで有力視された人物の一人で、聡明さや人望の高さで知られ「八賢王」と呼ばれました。
ドラマでは若蘭の夫として描かれますが、やさしく包容力のある面がある一方で権力争いの中では複雑な立場に置かれる人物として描かれています。
詳しくはこちらをご覧ください。第八皇子 胤禩 は皇太子の座を狙っていた
史実の八側福晋は誰だったのか
若蘭は実在しないのはわかりました。でも史実の第八皇子 胤禩には正妻や側室がいました。
第八皇子の正室
ドラマでは若蘭や若曦ににきびしくあたるのが嫡福晋の明慧です。明慧にはモデルがいます。
史実の第八皇子 胤禩の正妻は郭絡羅氏という女性です。彼女は安親王・岳楽の外孫にあたり、非常に家柄の良いお嬢様でした。史実でもプライドの高い強い女性だったようです。でも後に雍正帝の時代になると、夫の失脚に巻き込まれる形で正室の地位を奪われてしまいます。
ドラマで気の強い正室として描かれる明慧は、この郭絡羅氏のプライドの高さや立場の強さがよく再現されていると言えます。
明慧については若曦の明慧は実在する?モデルになった福普 郭絡羅(ゴロロ)氏の史実を解説をごらんください。
第八皇子の側室たち
そのほか、胤禩の側室には庶福晋王氏。妾の張氏。張氏や毛氏がいたことがわかります。側室 張氏の子として息子の弘旺がいたことも分かっています。王子は女子を生んでいますが幼くして死亡。毛氏には娘がいます。
そのため王氏、張氏、毛氏がモデルと考える人もいるかも知れませんが。彼女たちは「側福晋」ではありません。
名前不明の側福晋がいた
でも史実をさらに調べてみると面白い記録が見つかります。実は胤禩の側福晋(側室)には祭文(亡くなった人を悼む文章)には登場するものの、名字すら分かっていない女性がいるのです。
当時の公式記録「皇朝文典」によると、この正体不明の側室は、かなり早い時期から胤禩の屋敷に入っていたと記されています。
でも雍正2年(1724年)かそれ以前にはすでに亡くなっており、彼女が具体的に誰だったのかは今も歴史の謎に包まれたままです。
もちろん、この女性がすぐに若蘭のモデルだとは言い切れません。ですが、確かに側福晋として存在していたけれど、いつの間にか姿を消して誰だか分からなくなっている。という歴史の空白は、物語を作る上では絶好のポイントになります。
物語の制作者がこうした歴史の分からない部分をうまく突いて、若蘭というミステリアスで悲劇的な女性を当てはめたと考えることもできます。
清朝時代の王族の正室・側室の呼び方と階級については清朝皇子の妻と側室の階級:福晋と格格の違いをご覧ください。
ドラマの若蘭はどんな人物?
ドラマで劉心悠(アニー・リウ)さん演じる馬爾泰・若蘭(ばじたい じゃくらん)は清朝の第八皇子・胤禩の側福晋(側室)。ヒロインのである若曦(じゃくぎ)の姉です。西北総兵を務める馬爾泰将軍の長女として生まれました。
- 身分:馬爾泰家の長女、八阿哥の側福晋
- 家族:父(馬爾泰将軍)、妹(馬爾泰・若曦)
- 最愛の人:常青山
- 生没:1688年
- 没年:1723年
- 享年:35歳
若蘭の人物像と性格
静かだが冷たい所も
若蘭は争いを好まず、八皇子の屋敷内では常に静かで冷淡な態度を保っています。その気品ある佇まいは「天花の如き美しさ」と評されます。
でも夫の八皇子に対しては心を開いておらず、距離を保ったまま接しています。
妹思い
若蘭は妹の若曦を非常に可愛がっています。(現代人の魂が入ったため)妹の性格が変わっても妹思いなところは変わりません。時に厳しく、時に優しく包み込む妹思いな姉です。
馬術の達人
満洲人はもともと馬術が得意で女性でも馬に乗れますが、都で暮らすうちに馬に載る機会の減った人も多いです。
でも若蘭は都ではなく西北で育ったため馬術が得意。かつては草原を自由に駆け巡る活発な女性でした。
内に秘めた情熱
表面上は冷淡ですが、心の中には深い悲しみと、かつての恋人への強い情熱を抱き続けている芯の強い女性です。
悲劇の生涯と「常青山」への想い
若蘭はかつての恋人・常青山への想いを今でももっています。彼女にはの人生は、愛する人との引き裂かれた絆によって形作られています。
軍営での初恋
西北にいた頃。漢人の軍士である常青山(じょう・せいざん)と深く愛し合っていました。でも八皇子に見初められたことで、家名のために望まぬ結婚を強いられます。
愛する人の死と八皇子への恨み
八阿哥との結婚後、常青山が戦死したという報せが入ります。若蘭は八皇子が策略を用いて彼を死に追いやったと考え悲しみのあまり流産を経験。これ以降、彼女は心を閉ざして八皇子に対して一生消えない疎外感を抱くようになりました。
孤独な日々
唯一、妹の若曦にだけは心を開きますが、それ以外の世事には無関心を貫き。お経を唱える日々を送っています。
最期:死んで自由になる
ドラマ第28話では若蘭は病に倒れ、その短い生涯を閉じます。
念願の離縁
若蘭は最後に自由になることを望みました。臨終の間際に妹の若曦が八皇子に懇願して手に入れた「休書(離縁状)」を受け取ります。当時の女性にとって離縁は不名誉なことでしたが、若蘭にとっては「愛新覚羅家の人間」ではなくなり、死後に常青山と再会するための唯一の希望でした。
微笑みの最期
休書を手にし、ようやく自由になれることを確信した彼女は、穏やかな笑みを浮かべてこの世を去りました。
死後の計らい
第四皇子(雍正帝)は若曦の願いを聞き入れ、彼女の名を皇室の家系図から削除。遺体は西北へと運ばれ、密かに常青山と共に合葬されました。
若蘭の恋人 常青山は実在するのか
常青山も若蘭と同じく架空の人物です。歴史の記録には登場しません。架空の若蘭の相手役として創作された人物と考えられます。
名前からすると満洲人ではなく漢人。西北方面で任務につく軍人でした。
さらに「満洲貴族の娘」と「漢族の兵士」という恋の設定は非常にドラマチックな演出といえます。
清朝には満漢不通婚(満洲人と漢族は結婚してはいけない)といわれますが、実際には一律に法律で禁じられていたわけではありません。
でも八旗の上層部に属する家庭では家柄や財産「選秀女(皇帝や皇族の妻を選ぶ制度)」といった厳しい仕組みが優先されました。
そのため八旗の上流階級の娘は選秀女が終わるまでは勝手に結婚できません。さらに上流階級の満洲人女性が民間の漢族男性のもとへ嫁のは現実には極めて珍しいことだったのです。
こうした身分社会の壁があるので二人の恋はさらに悲劇的になりやすいです。決して叶わない、許されない恋だったからこそ、若蘭は青山のことがよけいに忘れられない。八皇子に嫁いだ後も過去を捨て去ることができなかったのかもしれません。
まとめ
若蘭は歴史上の清朝に実在した女性ではありませんでした。彼女の名前や若曦との姉妹関係、常青山との切ない恋、八皇子との冷たい関係や最後の離縁まで、すべてはドラマのために生み出された存在です。
でも八側福晋という立場や、満洲貴族の娘として家のために結婚を決められる境遇は、当時の制度や社会の仕組みのなかで表現され。いても不思議ではないリアルさがあります。
実際の胤禩にも正室の郭絡羅氏をはじめ、姓氏不明の側福晋、張氏や毛氏といった妻妾たちが実在しました。ドラマはこうした歴史をうまく使いながら若蘭という悲劇的な女性を造り上げたといえます。
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