中国ドラマ『度華年(どかねん)』は不思議な響きのタイトルですよね。原題の中国語でも「度華年/度华年」と書来ます。これには詩的な意味が含まれているのです。
この記事ではドラマ『度華年』のタイトルの意味・由来を紹介。漢字の持つ意味や背景にある古典の知識。ドラマの世界観の世界観を紹介します。これを知ればドラマがもっと理解できますよ。
ドラマのあらすじや見どころはこちらの記事をご覧ください
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・原題は中国語でも「度華年/度华年」。
・「度」=越える・渡る、「華年」=青春/栄華の年月
⇒ 華やかな時を“越えて”生きる。
・転生と再生を描く物語のテーマと言葉が持つ意味が一致しています。
『度華年』の原題と表記は?
中国語の正式表記:度華年/度华年
「度華年」は原題も「度華年」(簡体字:度华年)。
中国語の発音は拼音で Dù Huá Nián。発音は「ドゥー ホヮー ニィェン」が近いです。
日本語表記と読みの注意点
日本語の読み方は「度華年(どかねん)」。ちなみに間違う人も多いのですが「とかねん」ではありません。
英語タイトルとの対応(The Princess Royal など)
英語圏での配信・流通では英題として The Princess Royal が用いられます。ヒロインが皇族の姫(公主)設定のため、このタイトルになったようです。
でも原題のもつ言葉の深い意味や言葉の響きとしての美しさは英題だけでは十分に伝わりませんよね。
次に度華年の意味を紹介します。
「度華年」という言葉の意味は?
直訳すると「華やかな年月を渡る」「輝かしい時を越えていく」という意味になります。「度」「華」「年」それぞれの漢字には以下のような意味があります。
| 文字 | 主要な意味・ニュアンス | ポイント |
|---|---|---|
| 度(dù) | 渡る/越える/経験する/(仏教語)この世を“度する” | 物理的・精神的な「越境・通過」の含意が強い |
| 華(huá) | 華やかさ/栄華/美しさ/盛り | 人生の最盛期や「光彩」の象徴 |
| 年(nián) | 年月/歳月/時の流れ | 時間の推移・人生の区切り |
3つの文字が結びつくと、「華やかな年月を越えて生きる」という強いメッセージになります。
単に“楽しく年月を過ごす”という意味ではなく、時代や運命を「渡っていく」「超えていく」というニュアンスを持つのです。

度華年の意味
タイトルの由来は?
度華年というタイトルには古典の知識も含まれています。
「華年」は古典で“青春の盛り”を指す詩語
「度華年」という表現は日常で使う言葉ではありません。どちらかというと古典的な意味を持つ造語です。
「華年」は古代の文献『楚辞』『文選』などに見られ、“青春の盛り”、“人生の最も輝く時期”を意味します。
似た言葉に「風華正茂」(青春の盛り)などがあります。宋の時代に誕生した言葉で、人生のもっとも輝く時期を表す言い回しですね。
「度」は文語・仏教語で“越える”
「度」は熟語では「渡河」「度世」「度日」などがあります。物理的に“渡る”だけでなく、“試練を乗り越える”、“俗世を越えて悟る”という意味もあります。
さらに仏教語の「度世(どせい)=この世を越える」には“輪廻を超える”という精神的なイメージが含まれます。
そのため「華年」に「度」を重ねた「度華年」は華やかしい盛りさえ越えてゆくという詩的な意味が含まれるのです。
原題中国語「度過華年」との関係
ここで一つ補足です。現代中国語には「度過華年」という慣用句があります。これは「美しい日々を過ごす」という意味で、楽しく過ごすイメージ。
でも、このドラマのタイトル「度華年」はさらに深い意味を持たせ言葉なのです。
ただ「楽しい年月を過ごす」というよりは「時代や運命を自分の力で渡っていく・超えていく」というニュアンスが込められているのがポイントです。
“過ごす”というより、“乗り越える”“渡りきる”という、強い意志を感じさせますね。
ドラマ『度華年』とタイトルの深い関係
ドラマ『度華年』は、前世で悲しい結末を迎えた長公主・李蓉(りよう)と裴文宣(はいぶんせん)が生まれ変わって人生をやり直すという物語ですよね。このタイトルは、彼らの運命を表現したものになっているのです。
「度」は前世を乗り越える「強い意志」
彼女たちの人生は、悲劇的な前世から今世へと受け継がれ、もう一度やり直すことになりました。
だから「度(越える)」という言葉には「過去の運命や前世を乗り越えて、新しい人生を歩む」という意味が込められているんです。
通過ではない「乗り越える」という覚悟
これは単なる「通過」ではなくて、強い意志をもって「乗り越える」という物語全体のテーマを指し示しているわけです。
『度華年』は、ただ運命に流されるのではなく自分の手で未来を掴む「覚悟」の物語でもあるのです。
「華年」の意味するもの:取り戻すべき「輝かしい時代」
一方の「華年(かねん)」にも重要な意味があります。「華年」は前世で二人が手に入れられなかった「満たされた、輝かしい時代」のこと。
彼らは今世でその華年を「度(超え)」、つまり「悲劇を乗り越えて、再び生き直す」わけです。
『華年』には「華やかな時代」や「青春時代」といった意味もありますが、この物語では過去の過ちや悲劇がなかった理想的な人生・時代を象徴していると解釈するのが自然でしょう。
タイトルには「再生」と「覚悟」を象徴する言葉が使われています。ドラマの大きなテーマになっているのですね。
転生と再生の物語をたった三文字で表現
『度華年』というタイトルは「華やかな時代を越えて生きる」「過去を超えて未来を掴む」という意味。
『度華年』は李蓉と裴文宣の転生と再生の物語を、たった三文字で表現した言葉なのですね。
他作品と比べてわかる「華」の使い方
華のついた中国ドラマとタイトルの意味
中国ドラマには、華・花を含めたタイトルがいくつも見られます。
- 夢華録
タイトル「夢華録」の“華”は、古典で「華都(洛陽・汴京)」華やかな都の意味を持ちます。華やかな都の夢の記録。 - 大明皇妃(原題:大明風華)
原題は“華”のつくタイトル。ここでいう“華”=王朝の栄華・風格”。王朝の発展と、それを成し遂げるヒロインの政治的手腕や品格を表現。 - 恋華(原題:花戎)
「恋」の対象としての“華”。美しさや儚さも表現。原題では「花」ですが、華に加えて成長や開花・覚醒の意味も含まれます。 - 華の出陣~麗将・阿麦の仇討~(原題:阿麦従軍)
原題には華や似た意味の字はありません。邦題のみ。ヒロインの阿麦が麗将と呼ばれ華やかな武人のイメージから。日本人の想像する一般的な「華やか」イメージです。
『度華年』の独自性:栄華を目的にしない生き方
『度華年』が他の作品と違うのは華を楽しんだり手に入れるだけでなく、それを越えること。
主人公たちは制度や社会の仕組みと愛情の間で様々な選択をしたり、責任を負います。そういったものも全て乗り越えていくというメッセージなのでしょう。
あとがき:『度華年』というタイトルを改めて考える
『度華年』はただ華やかな時を過ごすという意味ではなく、「華年」という理想の時を「度(越境・通過)」する、というニュアンスが込められているのです。
この言葉が持つ「越境・通過」というニュアンスは、李蓉と裴文宣の「転生・再生・覚悟」というテーマにぴったり合っています。
「度華年」は物語のテーマを見事にギュッと凝縮したか形で表現している素晴らしいタイトルですよね。
よくある質問(FAQ)
- Q. 『度華年』の原題は? 読みは?
- A. 原題は度華年/度华年、拼音は Dù Huá Nián。日本語読みはどかねんです。
- Q. タイトルの意味は?
- A. 「度」=越える/渡る、「華年」=青春・栄華の年月。合わせて「華やかな年月を越えて生きる」という詩語的表現です。
- Q. なぜこのタイトルが選ばれたの?
- A. 前世を越えて今世を生き直すという物語の核(再生・覚悟)を、最短距離で示す言葉だからです。
- Q. 英語タイトルは?
- A. 一般にThe Princess Royalが用いられます。作品の設定に基づく通称的英題です。

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