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惜花芷 19・20・21・22話:林婉の死と花芷の決意

中国ドラマ 惜花芷(せきかし)第19・20・21・22話のあらすじをまとめました。

林婉がついに亡くなってしまいました。花家は厳しい立場に追い込まれますが、花芷は家主として生きる覚悟を固め、顧晏惜との関係にも大きな転機が訪れます。

太后の弔問や花静の悲劇、そして花嫻救出といった出来事が続きます。

花家に起きた出来事とその意味を歴史的な解説をふくめて紹介します。

 

この記事で分かること

  • 林婉の死と太后弔問が花家の立場に与えた影響

  • 花静の破滅とその歴史的な背景(自殺・門前の意味)

  • 顧晏惜が花芷に身分を明かした理由と二人の和解

  • 22話で描かれる花嫻救出・七宿司の行動の歴史的リアリティ

 

※この記事はドラマ『惜花芷』のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

他のエピソードを見たい方は 惜花芷(せきかし)あらすじとネタバレをどうぞ。

 

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惜花芷19話 林婉の最後

要約:秦姨娘と楊掌櫃の悪事が暴かれたものの林婉が吐血して亡くなり、あとを託された花芷は花家再興と祖父たちの解放を誓います。
 

19話あらすじ 悲しい別れ

花静が秦姨娘を使って花芷の腹掛け密通事件をでっち上げたことが暴露されました。

花芷は罪を追及せずに秦姨娘に協力させて楊掌櫃をおびき出し、媚薬の件も含めて役所に通報。宋成祖の薬舗を差し押さえさせます。怒った宋成祖は花静を殴りつけ花静は花芷を恨みます。

花静が林婉のもとに行って騒ぎ立てると、林婉は激りのあまり吐血。臨終の床で林婉は花家の印章を花芷に私をあとを託します。花芷は祖父たちを救い出して元に屋敷に戻ると誓うのでした。

葬儀にはほとんど弔問客が来ません。沈淇だけが父と縁を切って駆けつけ、やがて太后が自ら弔問に訪れます。

 

注目点:太后の弔問は史実ではありえない?

太后が林婉の霊堂に直接来て棺にすがりつき「婉の妹よ」と泣く場面は、花家の人だけでなく、周囲の使用人や町の人にも「林婉は皇室にとって家族同然の存在だった」とはっきり見せる演出でした。

しかも太后の奠儀が届いた瞬間、それまで誰も来なかった霊堂に弔問客が一気に押し寄せるので「太后がどう振る舞うか」が花家の今後の立場にどう影響するかが、見た目にもわかりやすく描かれています。

歴史的に見ると皇后や太后が民家の葬儀に出向くのは、ほぼありえない話です。明清期の礼制では本来なら「賜祭・賜葬」といって、皇室が弔文や香典、棺・葬費を出し、礼部などの高官を“使い”として派遣する形が限度でした。

惜花芷の世界は宋風ビジュアル+明時代の制度が混ざった架空王朝なので、今回の太后弔問は史実でいう「賜祭葬クラスの超厚遇」を太后本人が直接来るという形で見た目にわかりやすく脚色したものといえます。

太后が来たので「花家はまだ宮廷レベルではまだ守る価値がある家だ」というお墨付きを得たことになり。民衆も花家を見直すきっかけになったのです。

 

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惜花芷 20話 顧晏惜の告白と和解

要約:太后の弔問で花家の面目が少し戻る中、花静は花家と縁を切られ。顧晏惜は花芷に正体を明かして和解します。
 

20話あらすじ 抱きしめて

太后は林婉の葬儀に現れました。太后が来た事を知った人々が手のひらを返したように弔問に訪れます。

林婉が葬儀に来なかったため、花芷が宋家に連絡。宋成祖は親不孝者とされるのを恐れ花静を向かわせます。

花芷と花静は言い争いになり、媚薬の件を含め醜聞を大通りで暴きます。秦姨娘との乱闘まで起こり、ついに「今後、花静は花家と無関係」と縁切り宣言をします。

一方、謹慎中に飲食を断っていた顧晏惜に、顧晏焄は食事を差し入れ。しかし「君臣父子の関係は永遠に変わらない」と言うと顧晏惜は反発します。

林婉の訃報を聞いた顧晏惜は急いで花府へ向かい、自分が世子で七宿司司使であることを明かしました。花芷は十回の杖打ちだけは忘れないと言いつつも「あなたを恨んでいない」と伝え、二人は抱き合って涙を流すのでした。

 

注目点:なぜ宋成祖は科挙を理由に花静を送り出したのか?

花静は母・林婉の葬儀に行きませんでしたが。宋成祖は「実母の喪にすら行かない娘だ」と噂されれば不孝と告発され、宋家の息子の科挙に響くかもしれないと考えて、しぶしぶ花静を行かせました。

明清期の科挙には試験前に郷里で素行調査を行う慣例がありました。受験生は戸籍や里甲(町内会のような単位)に登録されていて、地方官や郷里の年長者が「この者は親に孝行しているか」「素行に問題はないか」を文書で報告する仕組みがありました。

そのため「親の葬儀を軽んじる」ような噂も人柄評価としてマイナスに働くと恐れられていました。ただし実際の合格判定にどれほど影響があったかは諸説あります。

宋成祖はこの時代の人らしく「母の喪にも行かない不孝な娘を妻に持つ家」と見られたら、息子の科挙や縁談で不利になると考えました。だから花静を葬儀に出させたのです。

歴史・文化の解説 君臣父子・三綱

顧晏焄が「君主は臣下の規範、父は子の規範」と語る場面は、儒教の「三綱」思想をそのまま口にしたものです。

ここで言う「君臣父子」は儒教の「三綱」(君臣・父子・夫婦)のうち二つで「君主は臣下の、父は子の絶対的なお手本であり、下の者は上に従うのが当たり前」という考え方です。

顧晏焄にとっては、顧家の世子である顧晏惜の人生は、君(藩王)と父の意志に従って国家と家を支えるために存在している。だから恋愛や個人の幸福はその下だ。と言っているのです。

惜花芷は架空王朝ですが、この「三綱」を前提にした儒教的価値観は実際の中国王朝でも明清期までずっと政治と家族制度の根っこにありました。その伝統的な価値観をそのまま顧晏焄の台詞にしている場面です。

 

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惜花芷 21話 花静の最後

花芷は印章を受け継いで花家の家主として決意を固めます。花静との縁を完全に断ち切る一方で、顧晏惜とは甘い額キスで互いの想いを確かめ合います。

 

21話あらすじ 恋人同士

印章を受け継いだ花芷は自分が花家の先頭に立つと誓います。

店では文字入りりんごが大人気。花芷が「晏」の描かれたりんごを見ていると、顧晏惜が現れ、今後は早朝の稽古には来られない遅れて来ると告げます。

宋成祖は花静に離縁状を叩きつけ、息子の昊児も母をかばわず花静は追い出され、夜に花家の門で首を吊って命を絶ちます。

顧晏惜は遺体を宋家門前に吊るさせ、花芷は花静とその子らとの関係を完全に断ち、花家への出入りを禁じます。

一方で秦姨娘を正式に離縁、秦二桂として花府に残り店の管理を任せます。

夜、花芷と顧晏惜は街を一緒に歩き「あなたがいる場所が自分の家だ」と語り合い、花街の灯籠の下で顧晏惜が花芷の額にキスするのでした。

 

解説:花静の自殺と遺体を宋家門前に吊るした意味は?

花静は宋成祖から離縁状を突きつけられ、息子の昊児にも「自分に迷惑がかかる」と距離を取られ、行き場を失って夜の花府の門へ向かいます。表札に向かって罵声を浴びせ、「決して花家を許さない」と叫んだ末に、その場で首を吊って命を絶ちました。

門の様子を確認しに来た顧晏惜が遺体を発見し陳情に命じて花静の遺体を宋家の門前に吊るさせました。

中国王朝では門前での自殺は相手に責任を突きつける「最後の抗議」として扱われることがありました。遺体がどこに置かれるかは「誰の恥になるか」「誰が後始末を負うか」を意味します。

顧晏惜が花静の遺体を宋家の門前に吊るさせるのは、宋家にも責任があると世間に見せつけるやり方で、かなり攻撃的です。

史料集『清稗類鈔』などにも門前で自殺して家名に打撃を与えた例があり、ドラマはそれを誇張して花静の悲惨さと宋家への圧力を表現したものといえます。

 

惜花芷 22話 顧晏惜司使が花芷を救出

要約:花芷は花嫻をDV夫から救い出し、楊府での監禁騒動も顧晏惜の協力で切り抜けます。花家では呉玉娘が難産となり花家の者たちが彼女を支えるのでした。

 

22話あらすじ 仮面と素顔

花芷は夫から暴力を受けている花嫻を救うため楊府へ向かい、会うまで帰らないと楊奇を追い詰めます。

傷だらけの花嫻と随安に会った花芷は離縁を勧めますが、楊奇に閉じ込められ、「事故」に見せかけて命を奪われそうになります。

花府では夏金娥ら夫人たちが七宿司に助けを求め、顧晏惜は面具をつけて司使の姿で楊府へ。楊奇の通報で役所の役人が来ますが、陳情の到着で顧晏惜が本物の司使だと明かされ花芷と花嫻は救出されました。花嫻は準備していた離縁状を楊奇に突きつけます。

その後、呉玉娘が難産となりました。花芷は産室に飛び込み、夫人たちも中に入って励まし、無事出産にこぎつけます。

一方、顧成燾の差し向けた点心で小姓・慶祥が死んだと知り、顧晏焄は激しく錯乱してしまいます。

 

歴史の解説:皇帝直属の特務機関が個人的に救助はあり?

七宿司司使は設定的には「皇帝直属の特務機関のトップ」で明代の錦衣衛や東廠あたりをモデルにした存在と考えられます。

錦衣衛や東廠などの特務機関は皇帝の命令で国家と皇帝の安全のために動く組織です。組織のトップが恋人を救うためだけに変装して突撃。というのは現実にはありえません。

もし似たようなことをやるなら、必ず「謀反の疑いがある」「治安事件に関わる」など公務としての名目を用意してから部下に動かせるのが普通でした。

惜花芷22話では「婦女監禁+殺人未遂の疑い」「夫人たちが七宿司に正式に訴えに行く」という要素はあるものの、それだけでは警察レベルの事件です。特務機関が動く理由にはなりません。惜花芷は明らかに私情で動いています。

ここは歴史的リアリティというより「皇帝直属の特務トップが自分の権限をギリギリまで私的に流用するラブロマンス的脚色」として楽しむのがよいと思います。

 

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『惜花芷』の前後のエピソードや、登場人物・あらすじ一覧ページをまとめています。

物語の流れや背景をもう一度整理したい方はこちらからどうぞ。

 

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この記事を書いた人

歴史ブロガー・フミヤ

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京都在住。2017年から歴史ブログを運営し、これまでに1500本以上の記事を執筆。50本以上の中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを正史(『二十四史』『資治通鑑』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。

詳しい経歴や執筆方針は プロフィールをご覧ください。

運営者SNS: X(旧Twitter)

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