PR

サンザシ飴:中国ドラマに登場する糖葫蘆(タンフールー)の意味とは?

中国ドラマには「サンザシ飴」がよく登場します。糖葫蘆(タンフールー)と呼ばれる赤く輝く飴玉には、ドラマでは幸福・愛情・庶民の象徴として描かれます。

宋代に生まれ、北京名物として親しまれてきたは、今もドラマや現実の街角で人々をつなぐ“甘い文化遺産”です。この記事ではその起源・象徴・現代の進化までを詳しく解説します。

 

この記事で分かること

  • 糖葫蘆(サンザシ飴)の本当の名前と意味

  • 宋代から続く起源と歴史的背景

  • 中国ドラマで多用される象徴的な理由

  • 現代での進化と日本での楽しみ方

 

 

スポンサーリンク

サンザシ飴=糖葫蘆(タンフールー)とは?

サンザシ飴の本当の名前

中国ドラマの「サンザシ飴」といえばこんな感じの食べ物。

山査子飴

出典:wikipedia

サンザシ飴の本当の名前は 「糖葫蘆(Tánghúlu)」

また、氷砂糖を使ったものは 「冰糖葫蘆(Bīngtánghúlu)」 とも呼ばれます。

名前の意味は

  • 糖葫蘆=砂糖をまとったヒョウタン

  • 氷糖葫蘆=氷砂糖をまとったヒョウタン

実際にヒョウタンを食べるわけではなく、ヒョウタンのように丸い実が連なっている形を例えたものです。

赤くつやつやした実が竹串に並んだ見た目は、日本の「りんご飴」に少し似ていますが、材料も歴史もまったく異なります。

主な材料は サンザシ(山査子)の実

糖葫蘆の主原料は サンザシ(山査子)

これは中国北部原産のバラ科の植物で、小さなリンゴのような形をしています。

サンザシ飴の材料として使われる大山査子の赤い実

サンザシ飴の材料として使われる山査子

 

華北地方では「大山査子(オオサンザシ)」、他の地域ではやや小ぶりの山査子が使われます。

乾燥した実は漢方薬としても利用され、消化を助け、胃の働きを整える効果があるとされています。

日本でも江戸時代、小石川薬園(現・小石川植物園)で薬用植物として栽培されていました。

 

スポンサーリンク

サンザシ飴の起源と歴史

糖葫蘆の正確な起源は不明ですが、記録や伝承によれば 北宋〜南宋時代(12世紀頃) に登場したとされています。

南宋・光宗皇帝と黄貴妃の物語

南宋第3代皇帝・光宗(趙惇)の寵妃・黄貴妃が重い病にかかり、食欲を失っていました。

ある医師が「砂糖と赤いサンザシを煮たものを食べれば回復する」と勧め、黄貴妃はそれを食べ続けたところ病が治ったといいます。

この話が庶民に広まり、砂糖でコーティングしたサンザシを串に刺した菓子=糖葫蘆 が誕生したと伝えられています。

時代的には日本の鎌倉幕府成立(1192年)とほぼ同時期。

その頃すでに北京・天津周辺では、似たような果物の砂糖漬けが食べられていたともいわれます。

 

北京名物としての糖葫蘆

清代になると、糖葫蘆は「燕京(北京)」の名物として広く知られるようになります。

『燕京歳時記』にも、サンザシやブドウを砂糖で固めた菓子として登場しています。

街角では露店が立ち並び、子どもや庶民のおやつとして人気に。

中華民国期には全国に広まり、現在では中国全土や台湾でもポピュラーな駄菓子になりました。

 

 

スポンサーリンク

なぜ中国ドラマでよく出てくるの?

中国ドラマを見ているとヒロインが夜市や屋台でサンザシ飴(糖葫蘆)を手にする場面がよく登場します。

サンザシ飴を手に街を散策する若い男女

 

ほんの一串の飴玉が、恋愛の転機や人生の分かれ道を象徴する小道具として使われることも珍しくありません。それはサンザシ飴(糖葫蘆)が中国人にとって「幸福」「庶民」「愛情」を同時に思い起こさせる特別な存在だからです。

 

庶民の象徴としての糖葫蘆

糖葫蘆は砂糖とサンザシさえあれば作れる素朴な駄菓子です。古くから「貧しい人でも作れる甘味」として庶民に親しまれてきました。

そのためドラマでは貴族や王族のような高い身分の登場人物が糖葫蘆を初めて食べることで、庶民との心の距離が縮まる。そんな象徴的な瞬間として描かれます。

また、ヒロインが小さな屋台で糖葫蘆を買う場面には、「肩書きではなく、人としての温かさを大切にする」という価値観が込められています。

赤く輝く飴玉は華やかな宮廷から一歩外に出た“人間らしい世界”を表現する灯りでもあるのです。

 

恋と幸福の象徴

糖葫蘆の赤は中国で幸福・縁起・愛情を象徴する色。
そして砂糖の甘さは「恋の味」「人の温かみ」を表します。
ドラマの中では次のような場面で感情を表現するために使われます。

  • ヒーローがヒロインに糖葫蘆を買ってあげる → 「想いを伝える」

  • 糖葫蘆を落として壊す → 「すれ違い」や「別れ」

  • 二人で一本を分け合う → 「愛の共有」や「約束」

言葉ではなく、一串の飴で心を伝える。そんな演出は時代劇にも現代ドラマにも通じる「甘く切ない象徴表現」になっているのです。

 

商売と自立の象徴

『贅婿』や『惜花芷』などの作品では、主人公が糖葫蘆作りを商売の出発点にします。

これは「庶民の知恵と努力で人生を切り開く」という中国的価値観を表現しているといえます。サンザシ飴の製造にはたいした資本も施設も必要ありません。材料は簡単でも発想力と工夫次第で人を喜ばせることができる

そのためサクセスストーリーの初期段階での演出にはちょうどよいのでしょう。

それに惜花芷でのヒロインが飴を売る姿には、「他人を幸せにしながら、自分も生きる道を見つける」
という前向きな女性像が重ねられています。

惜花芷の蜜弾児もサンザシ飴

ヒロインが自分の手で商売を始める印象的な場面といえば、『惜花芷』第9話で登場した「蜜弾児(みつだんじ)」のシーンです。蜜弾児の原料は山査子の実ですし、姿もサンザシ飴そっくり。

花芷が工夫を凝らした蜜弾児の販売で見事に成功を収める姿は、知恵と努力を象徴する印象的なエピソードでした。

詳しくはこちらの記事で解説しています:
【惜花芷】第9話・蜜弾児で花芷がつかんだ成功と成長の物語

 

絵的にも映える“幸福のシンボル”

赤い飴玉が串に連なり、街の灯りに照らされて輝く。

この光景は中国人の連想する「古き良き中国」のイメージとも重なります。暗い夜道や雪のシーンでも映えますし、演出する側にとっても「幸福と温もりを一瞬で描ける小道具」としてちょうどよいのでしょう。

糖葫蘆がドラマに多く登場するのは、それが「庶民の甘さ」・「恋の象徴」・「商才の始まり」を満たせる万能な小道具だから。一串の飴を通して登場人物の心や時代の空気まで伝わる。それこそが、サンザシ飴が長く愛され続ける理由なのです。

 

現代の糖葫蘆:進化したフルーツ飴

現代の中国や台湾では、定番のサンザシのほか、

イチゴ・プチトマト・マンダリンオレンジ・ブドウなど様々な果物が使われています。

屋台では、凍らせた糖葫蘆を「氷糖葫蘆」として販売。

冬の北京では、カリッとした飴の食感が季節の風物詩となっています。

 

日本でも楽しめる糖葫蘆

最近では、楽天やAmazonなどのネットショップでも冷凍・手作りキットが販売されています。

また、東京や大阪の中華街でも見かけるようになりました。

日本では「中国ドラマで見たお菓子を食べてみたい!」というファンも増え、

糖葫蘆は“ドラマと現実をつなぐスイーツ”として新たな人気を集めています。

日本でも楽天などのネットショップで購入ができます。

 

以下は記事全体を締めくくる**「まとめ」セクション**の本文案です。
文体はサイト全体のトーンに合わせて、「知的で温かく、読後に余韻が残る」調子にしています。

 

 

まとめ:サンザシ飴は“甘さでつなぐ文化の象徴”

サンザシ飴(糖葫蘆/タンフールー)は、千年の時をこえて中国の人々に親しまれてきた庶民の甘味です。宋の時代に誕生し北京の街角で子どもから大人まで笑顔にしてきたこの飴は、やがて「幸福」や「愛情」そして「努力の象徴」として物語の中でもたびたび登場するようになりました。

中国ドラマではヒロインが糖葫蘆を食べるシーンひとつで、その心のやわらかさ、恋の始まり、人生の転機を表現することができます。

『贅婿』では商才の象徴として、『惜花芷』では女性の自立と誠実な商いの象徴として描かれました。

どちらの作品にも共通しているのは、“小さな一串の飴が、人の心と運命を動かす”というメッセージです。

糖葫蘆はただの駄菓子ではなく、庶民の知恵・愛の象徴・幸福の記憶が凝縮された文化そのもの。
ドラマの中でそれを見かけたとき、それはきっと、登場人物たちの心が「甘さ」と「希望」に包まれる瞬間なのです。

 

関連記事

サンザシ飴が重要なアイテムとして登場するヒロインが商売で成功する中国ドラマ

惜花芷(せきかし) 星が照らす道:あらすじネタバレ 全話一覧

 

ドラマあらすじ
スポンサーリンク
この記事を書いた人

歴史ブロガー・フミヤ

著者 自画像

京都在住。2017年から歴史ブログを運営し、これまでに1500本以上の記事を執筆。50本以上の中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを正史(『二十四史』『資治通鑑』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。

詳しい経歴や執筆方針は プロフィールをご覧ください。

運営者SNS: X(旧Twitter)

この記事が役立った方は、ぜひシェア&ブックマークをお願いします!
フミヤをフォローする

コメント

error: