中国ドラマ『楽遊原(らくゆうげん)』は李嶷(りぎょく)と崔琳(さいりん)が出会い、戦乱を超えて愛を育むドラマ。
この記事では全40話のあらすじをまとめました。全話視聴済みの筆者が、歴史的な背景も交えて『楽遊原』の魅力を詳しく紹介します。
この記事でわかること
- ドラマ『楽遊原』全40話の流れ
- 主要キャラの関係性
- タイトル「楽遊原」の意味と時代背景
- 原作・匪我思存の作風と本作の違い
楽遊原 とは?あらすじ全体要約

ドラマ「楽遊原(らくゆうげん)」は、架空の王朝・大裕(だいゆう)が舞台の時代劇。
武将・孫靖(そんせい)のクーデターで皇帝が殺され、平穏だった国は一夜にして戦乱の時代へと突入しました。混乱の中、皇孫・李嶷(りぎょく)は人質となった父を救うため、崩れゆく国を立て直そうと立ち上がりました。
一方、名門・崔家の娘・崔琳(さいりん)は剣を取り男装して “何校尉”と偽名を名乗り戦場に立ちます。
李嶷と崔琳は敵として出会いました。望州城での対峙をきっかけに二人は互いの信念と力を認め合うようになります。幾度もの戦い裏切りを経て二人は孫靖の反乱軍を討ち祖国に再び平和を取り戻そうと奔走します。
しかし、権力をめぐる争いの火は消えません。宮廷の陰謀が二人を再び引き裂きます。戦いの果てに問われるのは愛か、それとも国か。
最終話では李嶷が皇帝として即位、崔琳とともに理想の国を築こうと歩み出します。二人が再び出会う場所は、心の故郷「楽遊原」。それは彼らがすべてを乗り越えてたどり着く“再生”の象徴なのです。
楽遊原 あらすじ 各話一覧
1話から最終話までのあらすじリストを紹介します。
→第1~2話あらすじ:宿命の出会い
第1話 天下を争う戦の始まり
第2話 腕比べと知恵比べ
→第3~6話あらすじ:深まる関係
第3話 昨日の敵は今日の友
第4話 起死回生の戦略
第5話 三つ巴の暗闘
第6話 以心伝心の好敵手
→7~10話あらすじ:二人の約束
第7話 終わりのない勝負
第8話 綱渡りの駆け引き
第9話 天下太平のために
第10話 二人で交わした約束
→11~14話あらすじ:信頼の崩壊
第11話 骨肉相食む関係
第12話 内外呼応の妙計
第13話 猜疑と焦燥の間で
第14話 危険な潜入作戦
→15~18話あらすじ:楽遊原の約束
第15話 運命の分かれ道
第16話 想いを花束にして
第17話 二人だけの桃源郷
第18話 王手をかけた戦い
第19話 掴んだ勝利の後味
第20話 満たされない心
第21話 譲れない一線
第22話 裏切り者の帰還
第23話 真実を告げる時
第24話 残された切り札
第25話 波乱含みの政略結婚
第26話 執着と欲望の果て
第27話 二人の夜を照らす蛍
第28話 未来を占う一戦
第29話 暗雲低迷の時局
第30話 不意打ちの惨劇
31~34話
第31話 笹とんぼの願い
第32話 新たな使命と責任
第33話 巧妙な罠に落ちて
第34話 望みを叶えた代償
35~38話
第35話 東宮での新婚生活
第36話 風変わりな奇術師
第37話 取り戻した幸せ
第38話 狙われた皇太子妃
39~40話
第39話 二人で臨む最終決戦
第40話 夢見た理想の未来へ
楽遊原 1・2話 あらすじネタバレ
ここでは『楽遊原(らくゆうげん)』第1話と第2話の詳しいあらすじを紹介します。物語の幕開けとなるこの2話では、クーデターで揺れる王朝と主人公たちの運命的な出会いが描かれます。
1話 天下を争う戦の始まり
辺境軍に届いた凶報
辺境の砦で静かに日々を過ごしていた鎮西軍の将軍・李嶷のもとに、急報が届きます。
「都で皇帝が暗殺され、皇族が多数殺害された」という衝撃の知らせ。生き残っているのは、人質となっている李嶷の父・梁王のみ。
副官の裴献は「救えるのはあなたしかいない」と訴え、李嶷は国の混乱を止めるため立ち上がります。
軍糧確保で謎の美女と遭遇
しかし出発直後に軍糧が不足。補給のために立ち寄った市場で李嶷は商人を追う謎の人物と鉢合わせします。それが後に運命を共にする崔琳でした。
二人は互いを敵と知らぬまま浴場や路地で剣を交え、最後にはお互いの持ち物を奪い合って別れます。
李嶷が手にした品から彼女が名門・崔家の娘だと知ったのはその後のことでした。
宿敵・崔氏の娘と再会と裏切り
夜、再び井戸端で出会った二人。崔琳は「太孫の居場所を知っている」と言い、李嶷を誘い出します。
ところが、それは罠でした。崔琳は暗器を放ち、李嶷を井戸へ突き落とします。
彼女の行動には、名門の娘として背負う“家の立場”が関わっているようです。
一方、李嶷は彼女の目的を追う中で、崔家と鎮西軍が避けられない対立にあることを悟ります。
ここから、二人の関係は“敵同士”として始まるのです。
2話 腕比べと知恵比べ
梁王の親心と命がけの嘘
都では反乱を起こした大都督・孫靖が実権を握り、皇帝の座を狙っていました。
人質となった梁王を呼び出し、息子・李嶷の動向を探る孫靖。
梁王はあえて息子を「無能でどうしようもない」と貶め、命を懸けてその能力を隠します。
父が病を装いながらも息子を守ろうとする姿には、家族の絆が垣間見えました。
命をかけた勝負と共闘
一方、戦場では李嶷の鎮西軍、崔琳の崔家軍、そして孫靖配下の郭直軍が三つ巴のにらみ合い。
この膠着を打開するため、李嶷と崔琳は変装して郭直の陣に潜入します。
そこで郭直が提案したのは、三軍代表による“競馬勝負”でした。
矢が飛び交う中、李嶷と崔琳は互いを牽制しつつも協力。
崔琳が危険にさらされた瞬間、李嶷は反射的に彼女をかばいます。
この行動をきっかけに、二人の間には敵意とは別の感情が生まれ始めます。
毒と罠
その夜、郭直は毒入りの菓子を送り、二人を一度に葬ろうとします。
偶然それを察知した李嶷は崔琳の陣に忍び込みますが、逆に捕らえられてしまいます。
しかし郭直軍の急襲を前に、二人は即座に協力。李嶷の指示で火矢を放ち、郭直軍の陣を炎上させて脱出します。
逃走の途中でも互いに策を読み合い、崔琳は李嶷を川に突き落とすなど一歩も引きません。
ところが彼女自身が罠に落ち、逆に李嶷に助けられることに。
焼き肉を分け合いながら一夜を過ごす場面では、敵対する二人の間にわずかな信頼の芽が見え始めます。
見どころと考察
ドラマ序盤の2話は「乱世で出会う二人の宿命」を描く重要な導入です。李嶷と崔琳はどちらも「国を救う」という同じ目的を持っていますが、背負う立場が違うため衝突します。
王家の血を引く李嶷と、名門崔家の娘として生まれた崔琳。この“正義の二重構造”が、後の愛憎と葛藤の原因になるのです。
戦場の駆け引きや父子の情など、史実の唐末・五代の動乱を思わせる要素も多く、恋愛劇というより、「乱世の政治と人間ドラマ」としての見応えのある出だしです。
次に3話以降も含めた全体のあらすじは→楽遊原 全話一覧 を御覧ください。
楽遊原 全体 あらすじ
『楽遊原』あらすじ(前半:第1〜14話)
乱世の幕開けと宿命の出会い:李嶷と“何校尉”
大都督・孫靖(そんせい)の謀反によって皇帝と皇族の多くが殺害されました。第十七皇孫・李嶷(りぎょく)は人質となった父・梁王を救い、国を立て直すため辺境の地で軍を挙げます。
一方、「崔家軍」も挙兵。李嶷は戦いの中で崔家軍の何校尉(かこうい)と出会います。彼女こそ、後に李嶷と深く関わることになる女将軍・崔琳(さいりん)でした。
二人は兵糧を巡って激しく衝突。結果、李嶷は物資を奪われてしまいますが、機転を利かせて望州城そのものを制圧してしまいます。
その後の逃亡劇の中で命を預け合う場面も増え、心の距離が少しずつ縮まっていきます。山賊に捕らえられたときには李嶷が咄嗟に「彼女と駆け落ちするつもりだった」と嘘をつく場面もあります。このときから、二人の関係は“敵”ではなく”運命に導かれた同志”へと変わり始めるのでした。
共闘と裏切り 「楽遊原の約束」
李嶷は水陸の要衝・並州城と建州城を攻略するため崔琳に共闘を提案します。二人は知略を駆使し、敵将・韓立の屋敷に潜入。互いの呼吸を合わせながら危機を切り抜けていきます。
しかし勝利の後、またもや兵糧を巡って対立。崔琳が先手を打ち、李嶷の戦果を横取りしてしまいます。
それでも、戦いと裏切りを繰り返すうちに二人の間には確かな絆が生まれていきました。
七夕の夜。「いつか、二人で楽遊原へ行こう」。
戦乱の中で交わされたその約束は、彼らの心を支える希望の象徴となります。
梁王の即位(14話)権力闘争の始まり
李嶷が濼陽城を制圧したころ、都では大きな変化が起きていました。
人質となっていた梁王が自らの死を偽装して脱出。そして濼陽で皇帝即位を宣言したのです。息子を案じていた父が、自ら権力の頂点に立つ。それは李嶷にとって想定外の出来事でした。
一方、孫靖はこの動きを察知して都の警備を強化。李嶷と崔琳の潜入作戦は失敗に終わります。二人は急きょ花嫁行列に紛れて脱出し、再び乱世の渦へと戻っていくのでした。
中盤の激動:(第15話~第24話)
誤解と和解
李嶷の父が皇帝に即位した後、二人の関係は試練を迎えます。李嶷は崔琳に裏切られたと誤解して苦しみ。命を狙われ負傷した崔琳は李嶷に保護されるものの二人の心はすれ違ったままです。
溝が深まる中、崔琳は毒針で李嶷を眠らせて脱走を試みますが、李嶷は彼女が本物の崔琳だと見抜いていたことを告白。ついに二人は心を通わせ約束の地「楽遊原」で静かな時間を過ごします。
西長京攻略:同盟の力と信義の証
愛を確かめ合った二人は都・西長京へ。崔家軍と鎮西軍は同盟して孫靖の反乱軍に挑みます。激しい戦いの末、二人はついに孫靖を都から追い出しました。
しかし戦の勝利は新たな苦難の始まりでした。李嶷は父である新皇帝から正当に評価されず、功績を歪められてしまいます。王朝内部では早くも権力を巡る争いが勃発。李嶷は政治の渦中へと巻き込まれていきます。
柳承鋒の再登場:愛と権力の罠
そこへ現れたのが死んだはずの柳承鋒。彼は北方の異民族と結託して野心的な策謀を巡らせます。そして李嶷と崔琳を引き裂くため、崔琳との政略結婚を強制的に進めようとするのでした。
峝関の戦い:終わりなき乱世の予兆
柳承鋒の策を退けた後、李嶷と崔琳は再び力を合わせ反乱軍残党が籠る峝関へと出陣します。
激戦の末、二人はついに反乱軍を討ち果たします。でも戦いの勝利の裏には多くの犠牲があり、崔琳自身も深い傷を負うことになります。
これで外の敵は滅びましたが、物語はここから王朝内部の権力闘争へと舞台を移します。
終盤戦:愛と権力、楽遊原の結末
皇太子争いと揺れる愛(第25話~第30話)
崔琳と崔倚は国の安定を願い李嶷を皇太子に推します。しかし李嶷は亡き皇太子との約束を守るため、甥の李玄澤を後継に立てようと主張。二人の間には理想の違いから深い亀裂が生まれます。
その頃、兄の李崍(りらい)は崔琳との政略結婚を画策、もう一人の兄・李峻(りしゅん)は権力の座を守るため暗躍。
李嶷は李峻の罪を暴こうと動きますが、同時に柳承鋒が再び現れ崔琳を誘拐する事件が発生します。
李嶷は命懸けで彼女を救い出し、束の間の穏やかな時間を取り戻すものの、その幸福は嵐の前の静けさにすぎませんでした。
崔家軍の解散と婚約(第31話~第34話)
李嶷は李崍との戦いに勝利しますが多くの戦友を失い、心に深い傷を残します。それでも崔琳の支えによって立ち上がり、ついに皇太子に就任。
でも喜びの影で新たな試練が待っていました。朝廷は10万の兵を擁する崔家軍を脅威とみなし、崔琳を皇太子妃とすることに強く反対。さらに崔倚には「反逆の疑い」がかけられます。
李嶷は父に無実を訴えますが皇帝は「崔琳を娶るなら崔家軍を解散せよ」と命じます。李嶷は二人を守るためこの条件を受け入れ崔琳は一時的に反発。しかし娘の幸福を願う父・崔倚が最終的に軍の解散を決断します。
こうして多くの犠牲と引き換えに李嶷と崔琳は正式な婚儀を迎えました。
最後の陰謀と「楽遊原」の再生(第35〜40話)
崔家軍を失った父・崔倚は心労で倒れ、崔琳も東宮での新生活に安らぎを感じられずにいました。その裏では良娣となった顧婉娘(こえんじょう)や、死を偽装して生き延びた柳承鋒が暗躍。
病から回復した崔倚を襲ったのは、顧宰相と異民族による陰謀でした。再び王朝を覆う混乱の中で、崔琳は行方不明となり、李嶷はすべての城門を封鎖して彼女を探し出します。
最終決戦の舞台は皇宮。
仮死状態から甦った崔琳とともに李嶷は乗り込み、すべての黒幕=顧宰相を討ち果たします。
戦と陰謀のすべてが終わり、李嶷は皇帝として即位。10年後、彼と崔琳は息子に恵まれ穏やかな未来を歩んでいました。
かつて戦場で交わした「いつか一緒に行こう」という約束。二人はようやくその言葉通り、心の中で真の「楽遊原(らくゆうげん)」に辿り着いたのです。
楽遊原 主な登場人物
楽遊原に登場する人物は 楽遊原 中国ドラマ キャスト・ 登場人物と相関図 で詳しく紹介しています。ここでは簡単に紹介しておきます。

楽遊原 主な登場人物
基本は大裕王朝を守ろうとする鎮西軍・崔家軍 対孫靖ら反乱勢力の戦いですが。鎮西軍の李嶷や崔家軍の崔琳/何校尉も一枚岩ではありません。お互いに張り合っています。
「楽遊原」タイトルの由来
「楽遊原(らくゆうげん)」は、もともとは唐の都・長安の西郊に実在した高台の名です。唐詩にも登場。かつて文人や貴族が春の宴を楽しみ、詩を詠んだ場所として知られています。そこからは長安の街並みと、都の盛衰を見渡すことができました。“唐の栄華と滅びの黄昏を見つめ続けた場所”でもあるのです。
このドラマは歴史的な地名をタイトルにしています。でもドラマでは「楽遊原」は地名というだけでなく、心の再生と癒やしを象徴する場所として描かれます。戦乱や権力争いに翻弄され、疲れ切った人々が一時の安らぎを求めて訪れる。それがドラマの中の「楽遊原」です。
主人公の李嶷(りぎょく)と崔琳(さいりん)にとって、この場所は特別な意味を持ちます。出会い、対立し、そして理解し合う二人が、再び心を通わせるきっかけとなった場所です。

楽遊原のイメージ画像
楽遊原の時代背景:乱世が生んだ権力の連鎖
大裕王朝という架空の舞台
『楽遊原(らくゆうげん)』の舞台は架空の「大裕王朝」。
衣装や官職名(節度使・都護軍など)の雰囲気から見ると、唐の後半から五代十国、さらに宋初期の政治と文化をモデルにしています。
この時代の中国大陸は100年以上にわたり混乱の中にありました。中央の皇帝が力を失い、地方の軍閥が台頭し「誰が正統な王なのか」が分からなくなる。『楽遊原』の世界は、そんな“正統な秩序が崩れた乱世”を背景にした物語です。
反乱から始まる乱世
物語の幕開けは、王朝を揺るがす大規模な謀反。国境を守る将軍・孫靖(そんせい)が反乱を起こし、皇帝と皇太子を殺害します。一夜にして王家は瓦解し、国は混迷の時代へ。
この展開は史実で言えば「安史の乱」や「黄巣の乱」そして朱全忠による唐滅亡を連想させます。
「外敵から国を守るはずの将軍が王朝の内部を脅かす存在になる」。それは唐から五代にかけて繰り返された歴史のパターンでした。
この混乱の中で立ち上がる皇族の李嶷(りぎょく)が率いる 鎮西都護軍と、名門の娘・崔琳(さいりん)が導く崔家軍。彼らは理想を胸に反乱軍・孫靖を討つため戦いに挑みますが、真の敵は外ではなく王朝内部に潜んでいました。
節度使の時代:外敵と内乱
『楽遊原』の武力勢力は、唐後期に実在した「節度使(せつどし)」をモデルにしています。
節度使は地方を治める軍政官で、やがて独自の軍を持ち皇帝に匹敵する権力を握りました。
李嶷の「鎮西都護軍」や崔家軍もそのような存在です。
また北方の掲碩(けいせき)族は史実の突厥やウイグルを彷彿とさせます。彼らは時に唐の味方、時に脅威となる存在でした。外敵との戦いと内部の権力争いは唐時代の後半によく似ています。
外の敵を倒しても、心の中の争いは終わらない。そんな乱世の人間ドラマが、この作品の特徴です。
楽遊原の時代背景:安史の乱をモデルにした理想の唐再生物語
楽遊原 感想と見どころ
『楽遊原(らくゆうげん)』は、恋や戦のドラマなのですが「理想と現実」「信義と権力」「女性の生き方」を丁寧に描いた作品ともいえます。主要キャラクターたちの姿を中心に、本作の魅力を整理してみましょう。
李嶷(りぎょく):理想に生きた王子の成長
演じるのはシュー・カイ。これまでの彼の作品では「かっこいいけど少し一本調子」という印象もありましたが、『楽遊原』では感情表現がぐっと深くなりました。李嶷は戦場では冷静な指揮官ですが、家族や愛する人の前では人間らしい弱さを見せます。そのギャップが魅力ですね。
本人もインタビューで「7日間連続で泣くシーンを撮って心が折れた」と語っていました。確かに、苦しみを抱えながらも理想を貫こうとする姿が印象的でした。
この役を通して、シュー・カイの俳優としての幅が広がったように思います。
崔琳:知略と行動力を持つ新しいヒロイン像
ジン・ティエンが演じる崔琳を見て『麗王別姫』の沈珍珠を思い出した人も多いのではないでしょうか。どちらも乱世の女性ですが、崔琳は沈珍珠とは正反対のタイプです。
沈珍珠が「耐える女性」だとすれば、崔琳は「動かす女性」。男装して戦場に出て、政治の中枢でも決断を下す。自分の力で時代を変えていくヒロインです。
ジン・ティエンはこの似たような時代背景の中で、まったく違う女性像をしっかり演じ分けています。役者としての成長が伝わる役でした。
『麗王別姫』で感じた「もし沈珍珠に力があったら?」という想像を、崔琳が現実にしているような印象です。
柳承鋒: 嫉妬に呑まれた知略家
柳承鋒は「頭は切れるけれど、感情で全てを壊すタイプ」の人物。軍師としては有能なのに、崔琳への歪んだ執着と嫉妬で自滅していきます。
彼は崔琳の幸せより「自分が彼女の隣にいること」を優先してしまった。その結果、国を混乱させるほどの行動に出てしまうのです。悪人というより、愛をこじらせて破滅した人。
ただの「邪魔者」に終わってしまったのは少し残念でしたが。その分、彼が退場した時のスッキリ感はなかなかのものでした。
梁王(李嶷の父):善意の裏にある「無能の悲劇」
李嶷の父・梁王は理不尽な仕打ちをすることもありますが、基本は悪人ではありません。判断の誤り化r、有能な息子を警戒。無能な兄たちを重用する。その判断がまた国を乱していく。
昔から「敵より厄介なのは無能な味方」といいますが、まさにその典型でした。彼は李嶷と崔琳の前に立ちはだかる最大の壁。最後に親子の和解が描かれるのは救いでしたが、「もう少し早く気づいてほしかった」と思わずにはいられません。
顧婉娘:愛が執着に変わった女性
顧婉娘は李嶷に助けられた恩から恋に落ちた女性。けれど、その想いが次第に「愛」ではなく「執着」になってしまいます。
李嶷と崔琳の関係を壊そうと、自分の立場を利用して妨害を重ねる姿は痛々しくさえ感じられます。愛する人を手に入れたいという気持ちが強すぎて、結局は自分を壊してしまった。
努力ではなく嫉妬で動く彼女は、物語の中で「愛の暴走」を象徴する存在といえるでしょう。
『楽遊原』原作:匪我思存(フェイ・ウォースーツン)の世界観
『楽遊原(らくゆうげん)』の原作は、中国の人気作家・匪我思存(フェイ・ウォースーツン)による同名小説です。
彼女は“悲劇の女王”とも呼ばれ、『東宮』『千山暮雪』『恋愛先生』など、愛と権力、理想と現実の間で揺れる人間模様を描いた作品で知られています。
匪我思存の物語には、いつも「愛」と「義務」、「私情」と「国家」といった二つの力がせめぎ合います。登場人物たちは自分の心よりも立場や信念を優先しなければならず、その中で生まれる痛みや喪失が彼女の作品にはあります。
「悲劇」から「再生」へ
でも『楽遊原』は、これまでの匪我思存作品とは少し違います。
代表作『東宮』が究極の悲恋として知られていますが、今作では過酷な運命の中にも希望が描かれるのです。
李嶷と崔琳は多くのすれ違いや犠牲を経ても、最終的には互いの理想を尊重して共に前へ進もうとします。
乱世を部隊にしていますが、そこに描かれるのは人が理想を信じ続ける強さ。この“理想と再生”というテーマは、最近の匪我思存が追い求める「成熟した愛のかたち」を象徴しているようです。
楽遊原 番組情報
原作・監督・脚本・話数
- 原題:乐遊原(Le You Yuan)
- 制作国:中国(2024年)
- 話数:オリジナル版全40話、BS版 42話
- 放送:BS12 月曜・火曜 各2話(週4話)
- 主演:許凱(シュー・カイ)、景甜(ジン・ティエン)
- ジャンル:歴史ロマンス・宮廷政治劇
放送情報
2025年10月現在。BS12で放送しています。
月・火曜(午後4:00~6:00)2話連続。
Amazon Primeでも常時配信中。
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Q「楽遊原」とはどういう意味ですか?
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A
もとは唐の都・長安の西郊に実在した高台の名です。長安周辺でも特に景色のいい場所で「楽しんでめぐる場所」という意味で「楽遊原」と名付けられました。
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Q楽遊原は全何話?
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A
オリジナル版は全40話構成です。BS12放送版は全42話構成に編集されています。
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Q楽遊原はどの時代がモデル?
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A
架空王朝が舞台ですが、衣装や建物・制度を見るとモデルとなっているのは唐の時代です。
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Q楽遊原の読み方は?
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A
「らくゆうげん」です。また「楽遊原」とよく間違えられますが正式には楽遊原です。読み方は同じです。






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