◀ 如懿伝75-78話あらすじ ｜如懿伝79-82話あらすじ ▶
中国ドラマ「如懿伝～紫禁城に散る宿命の王妃～」79･80･81･82話のあらすじとネタバレ感想を紹介。
『如懿伝』79～82話では、凌雲徹の死と断髪を通して愛と忠義の終焉が描かれます。皇帝との決別、でもそれは如懿にとって自由を手に入れた瞬間でした。
この記事では第79話から82話までのあらすじとの見どころ・歴史的解説をまとめて振り返ります。
※この記事はドラマ『如懿伝』のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
他のエピソードを見たい方は 如懿伝 あらすじネタバレ全話一覧 をどうぞ。
如懿伝79話 あらすじ：凌雲徹が潔く死を受け入れる
皇帝の怒りと嬿婉の策略
皇帝は十二阿哥から如懿と凌雲徹の密会を目撃したと聞かされ激しく怒りました。
でもそれは嬿婉と進忠が仕掛けた巧妙な罠でした。永璂の証言さえ操作され、事実がねじ曲げられていたのです。
如懿は自分が濡れ衣を着せられたことに気づきましたが、皇帝の疑念を晴らす手立てはありませんでした。凌雲徹は慎刑司に送られ過酷な拷問を受けることになります。
海蘭の葛藤と決断
如懿は息子の永璂を守ることを優先、凌雲徹の救出を見送りました。
一方、海蘭は如懿の立場を理解して「凌雲徹が生きている限り如懿は救われない」と考えます。彼女は密かに慎刑司を訪れました。
凌雲徹は海蘭の思いを察し、如懿のために自ら死を受け入れる決意をします。
凌雲徹の最期
凌雲徹はかつて嬿婉に贈った指輪を返され「雲」と「燕」の縁が終わったことを悟りました。
彼は最期に「如懿様がご自愛くださるように」と言い残し、梅の香を感じながら静かに息を引き取りました。
処刑法は「加官進爵」。紙で窒息させるという、静かですが残酷な刑でした。
残された者たち
海蘭は如懿に真実を伝えました。しかし如懿は「善意であっても、間違いは間違い」とだけ答えます。
凌雲徹と海蘭。如懿は心を通わせた者たちを失って如懿は深い孤独と後悔の中に沈んでいくのでした。
如懿伝80話 あらすじ：如懿、沈黙の南巡
凌雲徹の死と静寂の二年
凌雲徹が処刑された後、如懿は彼の夢に悩まされ深い罪悪感の中で過ごしていました。容珮は永琪に命じ丁重に埋葬を行いましたが、如懿の心の痛みは癒えることがありません。
一方、嬿婉は十四阿哥と十六阿哥を相次いで失いました。母としての悲しみは深く、同時にそれは権力を得た代償のようにも見えました。
南巡の決断
二年後、皇帝は後宮を遠ざけたまま南巡を行うことを決めます。
十二阿哥は両親の不仲を気にして如懿に同行を勧めました。海蘭の説得もあり、如懿は同行を承諾します。太后もこれを「夫婦の関係を修復する機会」として認めました。
杭州への旅
杭州に到着した如懿と皇帝はかつての旅を思い出しました。孤山の梅を見上げた如懿は「断橋は断たれずとも、肝腸は断たれ」と呟きます。
その言葉には、愛がすでに過去の記憶となったことを悟る静けさがありました。
嬿婉の誘惑策
南巡の最中、皇帝が退屈だと漏らすと嬿婉は進忠に命じて美しい娘・水玲瓏を献上します。西湖の夜、琴の音と舞の中で皇帝は彼女に心を奪われました。
翌朝、嬿婉はその成功を聞き、さらに数人の美女を選ばせました。この出来事は密かに処理されましたが、やがて民の間に噂が広まり傅恒も異変を察知します。
如懿の知る真実
如懿は街で講談師が皇帝と水玲瓏の話を語るのを耳にし、全てを理解しました。皇帝の信義を裏切る行為に激しい怒りを覚えた如懿は炩貴妃（嬿婉）を呼び出し厳しく責めます。
「皇帝の妻として、あなたの罪を見逃すことはできません」と告げ、三宝に命じて炩貴妃を幽閉しました。
皇后としての威厳を保ちながらも、その瞳にはすでに愛のぬくもりは残っていませんでした。
如懿伝81話 あらすじ：如懿の断髪
炩貴妃の罪と如懿の決断
如懿は炩貴妃（嬿婉）を幽閉し、皇帝の裁きを待たせていました。しかし皇帝が船上で遊女・水玲瓏と戯れているという報せが届きます。如懿は激しく怒り、背後に炩貴妃の陰謀を確信しました。
その場で死罪を命じようとしましたが、進保が冷静に諫め、皇帝への上奏を勧めました。
如懿は御座船へ向かいます。
愛の終り
船上では皇帝が民間の女性たちと遊興にふけっていました。如懿は全員を下がらせ、皇帝と二人きりで向かい合います。
皇帝は「宮廷の外の自由に惹かれただけ」と弁明しましたが、如懿は「それは帝王の放縦です」と言い切りました。
中宮として皇帝の名誉を守ろうと訴える如懿に対し、皇帝は「お前は威圧的で、孝賢皇后にも及ばぬ」と言い放ちます。その言葉で二人の間に残っていた愛も敬意も、完全に崩れ去りました。
断髪と夫婦の終わり
激しい口論の末、皇帝は如懿を打ち皇后の位を廃します。如懿は静かに髪飾りを外し、自らの髪を断ち切りました。
「断髪をもって弔う。かつての青櫻と弘暦に」
髪は満洲族にとって命と忠誠の象徴で自ら切ることは“死”を意味します。如懿はこの行為によって、愛も名も生も、すべてを手放しました。
後宮の動揺
如懿の断髪は皇帝への反逆に等しい行為とされました。皇帝は怒りにまかせて命令を出し如懿を翊坤宮に蟄居させ嬿婉を皇貴妃に封じます。
皇太后はこれを厳しく咎め、「清の百年で皇后の廃位は一度きり。再び行えば、徳を失う」と戒めました。
一方、嬿婉は功績を口実に進忠を殺し己の罪を隠しました。
如懿は宮へ戻り海蘭の呼びかけにも答えず沈黙するだけでした。
一方、皇帝は愛を失い権力と孤独に閉じこもってしまいました。
如懿伝82話 あらすじ：皇帝が世継ぎを決定
翊坤宮の孤独
幽閉の日々が過ぎ、如懿は海蘭との面会を拒み続けていました。
友情を守るために距離を置こと。それが如懿に残された最後の思いやりでした。彼女は容珮に香袋を返し「十二阿哥と五阿哥を頼みます」とだけ告げます。
その頃、後宮では嬿婉の権勢が増し如懿に仕えていた者たちは次々と追放されました。翊坤宮は、かつての華やかさを失い静かな廃宮のようになっていました。
海蘭の訪れと友情の終り
永琪の願いにより皇帝は一度だけ如懿の見舞いを許します。
海蘭は涙をこらえ「あなたが私を忘れても、私は一生あなたを忘れません」と語ります。
如懿は微笑み「私たちは隔たってなどいません。ただ、それぞれの道を歩む時が来たのです」と返しました。
二人は言葉を交わすよりも、沈黙の中で互いの想いを確かめ合いました。
芸角の葛藤と嬿婉の毒
一方で嬿婉は病に伏す五阿哥を利用しようとします。
侍女の芸角に毒を渡し「これで母の仇を討てる」と囁きました。
芸角は迷いながらも、看病を続けるうちに憎しみよりも哀れみを覚え、ついに毒を地に捨てます。
その行動は、復讐が愛に溶けて消える“心の救い”を象徴していました。
枯れた緑梅と如懿の悟り
翊坤宮で如懿は、かつて皇帝が贈った緑梅の枯枝を見つめていました。
「この梅が再び花をつけることはない。けれど、私はようやく自由になれた」
夢に現れた叔母に「家の名誉より、心の安らぎを選びます」と答え、過去への執着を手放します。
その頃、五阿哥は如懿を案じ、三日に一度、花と白檀を送り続けていました。
世継ぎの密詔
朝堂では皇帝が永琪の功を称え、栄親王の位を授けます。
そして「正大光明」の額の裏に密かに永琪を皇太子と定める詔を隠しました。
愛する者を疑い続けた皇帝が、ようやく次の世へと自らの意思を託した瞬間でした。
感想と考察：断髪は支配からの解放
ドラマ『如懿伝』の最大のクライマックスと言える「断髪」のシーンが描かれました。
史実でも継皇后が髪を切ったという事実は残っていますが、それがなぜ行われたのか詳しい理由はわかっていません。
ドラマが描く断髪は「離縁の象徴」の他にも意味があるようです。むしろ「女性が皇帝という大きな支配から自分自身の魂を切り離す行為」として描かれています。
皇帝にとって愛とは「支配と服従」という権力の一部でした。
でも如懿にとっての愛は「無条件の信頼と、お互いの深い理解」という、かけがえのないものです。
二人の関係が決定的に壊れてしまったのは、感情のもつれというよりも「価値観の違い」だったと言えるではないでしょうか。
如懿が自分の髪を断ち切るその瞬間、彼女は「乾隆帝の妻」という重い役割から解放されます。そして宮廷に入る前の自由だった頃の「青櫻（せいおう）」に一瞬だけ戻ることができたのです。
ドラマの如懿にとって断髪はただひたすら「自分自身の自由」を求めた、彼女の人生最後の手段だったのかもしれません。
歴史・文化の解説
南巡と乾隆帝
乾隆帝は実際に六度の南巡を行いました（最初は1751年）。目的は江南の富裕層・文人との融和と治世の安定を誇示することでした。康煕帝も清朝の統治の安定のために巡幸を行っています。
しかし乾隆帝の南巡は過去の皇帝よりも贅沢な旅になっていて、『清実録』によると、各地の行宮では宴席・詩会・民情視察が行われました。莫大な経費を使い、後に「名誉の浪費」とも批判されました。
ドラマでの杭州滞在はこの贅沢な旅を舞台に皇帝の精神的な虚しさを表現しているようです。
満洲族の髪と断髪の禁忌
清朝では「薙髪留辮（ていはつりゅうべん）」前髪を剃り辮髪を結うことが民族的誇りとされ、
髪を切る行為は“忠誠を絶つ”あるいは“死者に殉ずる”意味を持ちました。
『大清律例』では断髪は「大喪時のみ可」とされ、それ以外は不敬罪に問われます。つまり謀反も同じ。如懿も満洲人ですからもちろんこの決まりは知っています。そのうえでの断髪ですから。死をも覚悟しての行いだったのでしょう。
歴史上の継皇后がなぜそこまでの行いをしたのかはわかりません。でもドラマにあるように、長年の不満や苦労が重なり、この南巡でついに切れてしまったのかもしれません。
如懿伝の登場人物
- 如懿（にょい）／皇后 演：ジョウ・シュン
- 乾隆帝（けんりゅうてい） 演：ウォレス・フォ
- 鈕鈷祿氏（ニオフルし）／皇太后 演：ヴィヴィアン・ウー
- 海蘭（ハイラン）／愉妃（ゆひ） 演：チャン・チュンニン
- 衛嬿婉（えい えんえん）／炩妃（れいひ） 演：リー・チュン
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