明蘭 51~55話では朱曼娘の告発により、顧廷燁は朝廷で窮地に立たされます。 さらに明蘭は亡き母を侮辱する父の決定に毅然と立ち向かい。顧廷燁は皇帝の実父の称号を巡って罰を受けることに。
「なぜ位牌一つでこれほど揉めるのか」「なぜ実父への称号が棒打ちの罰に繋がるのか」と、現代の感覚では不思議に思う場面も多いはず。
実はこれらの争いには北宋時代の「格付け」と「礼制」というルールが関わっています。
この記事を読めば、登場人物たちがなぜ、そこにこだわるのかがわかります。
この記事で分かること
- 風聞奏事の罠: 一人の女の噂話が朝廷を動かすわけ
- 位牌の格付け: 明蘭が父に激怒した本当の意味
- 「叔母」の壁: 斉衡の恋心を粉砕した、呼称による絶対的ルール
- 濮議(ぼくぎ)の争い: 顧廷燁が棒打ちに処された歴史的な政治背景
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明蘭 51-55話 各あらすじへのリンク
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51話
朱曼娘の広めた騒動が朝廷に飛び火。さらに顧廷燁は書昌の死を知り曼娘を都の外へ追放します。第51話あらすじ
52話
明蘭は林噙霜の位牌をめぐって盛紘と衝突。秦氏は銭鳳仙を側妻候補として送り込みます。第52話あらすじ
53話
祝宴で明蘭は申和珍から挑発を受け、斉衡を裏で呼び出して過去を断ち切ります。第53話あらすじ
54話
宴で起きた鄒氏と張氏の揉め事が起こり明蘭は仲裁役を任されました。馬球の場で関係修復の糸口を作るのでした。第54話あらすじ
55話
夫婦の溝は埋まず、さらに顧廷燁は朝廷の贈位問題で皇太后の怒りを買い棒打ち20回の罰を受けます。第55話あらすじ
明蘭あらすじ51話 斉衡が朝廷で顧廷燁を批判
あらすじ51話 息子の墓
朱曼娘が都で顧廷燁の名前を出して大騒ぎしたせいで噂はあっという間に広まってしまいました。その話はついに宮中にまで届き斉衡は朝廷で顧廷燁を厳しく問い詰めます。
皇帝も事態を重く受け止めますが、顧廷燁の怪我の具合も考えて重い罰は下しませんでした。その代わりに、これからはもっと慎重に動くようにと釘を刺します。
騒ぎのあと。朱曼娘を追った顧廷燁は都の外にある墓地で息子の書昌がすでに病気で亡くなり埋葬されていたという残酷な事実を知ってしまいます。ショックを受ける彼に明蘭は静かに寄り添うのでした。そして顧廷燁は曼娘に「もう二度と会うことはない」と告げて、彼女を都から追い出すのでした。
解説:朱曼娘の街中での告発はありうるのか?
第51話では朱曼娘が都の真ん中で顧廷燁の悪評をいいふらして噂が広まり、騒動が朝廷にまで飛び火してしまいましたね。これを知った斉衡は絶好のチャンスとばかりに顧廷燁を厳しく追及しました。結局、皇帝は「たしかに問題はあるけれど、重い処罰は下さない」という、なんともはっきりしない決断を下しました。
北宋の都・汴京のような大都市で噂を広めて冤罪を訴える、役人の不正を叫ぶといった行いは史料にも見られます。
でもさすがに噂だけで弾劾するのは問題ということで唐の開元年間から監察官は情報の出どころをはっきりさせるよう求められています。それでも『文献通考』によれば「役人たちは御史の弾劾を恐れた」と書かれています。
ドラマのように一人の女性の個人的な批判がここまで朝廷の争いに影響を与えるのはドラマ的な演出といえます。とはいっても世論が官僚の評判に影響するのは北宋らしいと言えますね。
明蘭あらすじ52話 林噙霜の位牌で父娘決裂
52話あらすじ 側妻の災難
盛家の三姉妹が久しぶりに実家へ集まりました。そこで墨蘭が「母の林噙霜の位牌を玉清観で供養したい」と言い出し、父の盛紘もそれを許してしまいます。
しかし母を奪われた明蘭は黙っていられません。「あの人だけは絶対に許せない」とはっきり拒絶し父と真っ向からぶつかり合います。
怒った盛紘が思わず手を上げようとしたその時、夫の顧廷燁が割って入りました。彼は「林噙霜を家系図から外すべきだ」と突き放します。さらに「親に不名誉な記録があれば、子供たちの出世にも響く」と冷静に言うと場は一気に静まり返りました。
帰り道、顧廷燁は落ち込む明蘭に寄り添い彼女の母の位牌を正殿へ移すと約束します。
その裏で、秦氏は新たな側室候補を送り込んで揺さぶりをかけ、梁晗は「墨蘭との出会いは最初から仕組まれていたのではないか」と不信感を持ち始めていました。
解説:林噙霜の位牌がなぜそこまで問題になるのか?
盛紘は林噙霜の位牌を玉清観で祀ることを許可しました。これに明蘭は大反対しました。これは明蘭が冷たいのではありません。中国の位牌の考え方を知ると明蘭の気持ちがよく分かります。
林噙霜の位牌を正式に盛家として祀ることは正式な家族として認め、盛家としては「林噙霜の罪はもう問題にしない」と宣言していることになります。
母の死はもう終わったことにされてしまえば明蘭はたまったものではありません。
顧廷燁も分かっていますから感情的に反対するのではなく「殺人に関わった者を正式に家族として扱えば家の評判や家の子孫の進路にも響く」と説明。そうなるとこの時代に生きる人達は顧廷燁の意見を無視できなくなるのです。
明蘭あらすじ 53話
53話あらすじ 男の未練
顧廷燁が正式に寧遠侯爵家の当主となり、広大な澄園と顧家の本家が一つにつながりました。そのお披露目として、明蘭は名家を招いた盛大な祝宴を開きます。
これほど大きな宴を仕切るとなれば、当主の妻としての実力が試される場になります。夫婦の間にはどこか張り詰めた空気が漂っていました。
そこへ斉衡の正妻 申和珍が姿を見せました。彼女は明蘭に丁寧な言葉の中にも嫌味を含ませた挨拶を浴びせました。明蘭は騒ぎになる前に決着をつけようと裏で斉衡を呼び出します。
斉衡はかつての恋心を捨てきれず、後悔の言葉を並べます。しかし明蘭は二人の関係はもう過去のものだと突き放し。盾のない自分は、顧廷燁を頼らないと生きられないと言います。
ところが、そのやり取りを当の顧廷燁が目にしてしまいます。明蘭の覚悟を知りつつも、どこか割り切れない思いが残るのでした。
一方宴の席では身分の高い張氏が、側室の鄒氏から恥をかかされるという騒動が巻き起きてしまいます。
解説:「私は叔母」斉衡を突き放す明蘭の言葉の意味
明蘭は未練がましい斉衡に「あなたが夫を叔父と呼ぶなら、私は叔母です」と言いました。これは二人の関係を修復不可能に追い込む厳しい言葉です。
明蘭が人妻なので斉衡が恋心を持つのはいけないのは当然ですが。斉衡は未練がましく未だに男女の仲にこだわっています。人妻という理由だけでは納得できません。
そこで明蘭は倫理観や男女の関係で拒むのではなく「叔母」という立場を利用しました。
斉衡は顧廷燁を叔父と呼びます。貴族の付き合い上は世代的にはそうなります。当然、顧廷燁の妻である明蘭はいくら若くても「叔母」です。当時の社会では、こうした呼称は絶対的なルールでした。一度「叔母」と決まれば、斉衡が少しでも私情を挟めば叔父の妻を侮辱する不道徳な行為になります。
明蘭は「男女」の関係を「世代間の序列」の関係にすり替えました。明蘭は斉衡が重んじる礼節を逆手に取って彼が踏み込めない壁を作ったわけです。
明蘭あらすじ 54話
54話あらすじ 他生の縁
祝宴の席で沈従興の側室 鄒氏が正室の張氏に無礼な振る舞いを行い問題となりました。この騒ぎは皇后に知られ明蘭は経緯を説明するために宮中へ呼び出されました。
皇后から事情を聞いた明蘭は沈従興の亡き前妻の妹 鄒氏が特別扱いされてきた事情を察します。このままでは沈家の内輪揉めが外まで広がり、朝廷をも揺るがしかねません。
そこで明蘭は張氏に自分は味方だと行動で示して信頼を築いていきました。馬球に誘い、共に楽しむ時間を作り頑なだった張氏の心をも解きほぐしていきます。
一方で、完璧に立ち回る明蘭の姿を見て、夫の顧廷燁は複雑な思いを抱きます。彼女が「妻の役割」を完璧にこなせばこなすほど、自分への愛は本心なのか、それとも単なる義務なのかと不安になるのでした。
注目点:張氏と側室・鄒氏の争いは何が問題?
正妻・張氏と側室・鄒氏は名門の集まる公的な場で争いました。この争いは一見すると女の喧嘩のようですが、これがこじれると宮廷と官僚社会の秩序を揺るがすかもしれない問題になっています。
もともと張氏との縁組は、新旧の家臣を団結させるために皇帝と皇后が整えたものでした。そのため側室が正妻を侮辱する行為は宮廷の決定をないがしろにする行為です。放置すれば「皇后の面目が潰れた」と周囲に受け取られてしまいます。さらに側室の鄒氏は皇后の命の恩人の妹です。彼女の暴走は皇后自身の過去の判断にまで泥を塗る形となりました。
この揉め事が広まれば張氏の実家の英国公家との対立に発展。名門同士の争いに発展しかねません。そこで皇后は争いを止めるため明蘭に仲裁を託しました。
明蘭は誰とも利害関係がありませんし、宴の主催者として責任を負える立場です。明蘭なら角を立てずにうまく収められると見込んだのです。そして名欄は見事に皇后の期待に答えました。
明蘭あらすじ 55話 すれ違う二人
55話あらすじ 知りたい本音
明蘭と顧廷燁はすれ違いの日々がつづいていました。そこへ親友の盛長柏が訪ねてきます。顧廷燁は明蘭への不満を口にすると、長柏は不満があるなら真正面から向き合うべきだと誠実な言葉で彼を諭しました。
その頃、明蘭のもとには張氏から「子を授かった」という報せが届きます。本来なら祝うべきことですが夫の沈従興は張氏を気遣うどころか、またしても側室・鄒氏のもとへ入り浸り、張氏は不安に沈んでいました。
ようやく帰宅した顧廷燁は久しぶりに明蘭と二人きりの時間を過ごします。しかし二人は激しい口論の末に再び別々に寝る事になってしまいます。
さらに朝廷では皇帝の実父への称号をめぐる争いが激化します。斉衡らの強い反対もあり、顧廷燁は皇太后の怒りを真っ向から買ってしまいました。
その結果、見せしめとして棒打ち20回の厳しい罰を命じられ、心身ともに満身創痍の窮地に立たされてしまいます。
解説:史実にもあった実父への贈位問題
55話で問題になった実父への贈位問題ですが。これは皇帝の正統性と、儒教のルールである「礼制」がぶつかり合う政治的な争いです。
ドラマのモデルになったのは北宋の英宗二時代に実際に起きた「濮議(ぼくぎ)」という事件です。
今の皇帝は先帝の後継者として即位したので、公的には「先帝の息子」という立場になっています。ここで皇帝が実の父親に高い位を贈れば、先帝との親子関係が薄れ彼を支えてきた皇太后の権威を傷つけることになります。
斉衡は礼制を重視して皇太后の立場を守るために反対しました。それに対して顧廷燁は血のつながりを重視しました。その結果、皇太后の顔を潰すことになり、彼は棒打ちの罰を受けることになったのです。
これは家族の血の繋がり優先するか、国家の秩序を守るかという正解のない対立なのです。
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