ドラマ『度華年』29〜32話のあらすじとネタバレをお届けします。
科挙不正の追及を機に、柔妃と粛王が勢力拡大を狙う一方、李蓉は世家と学徒の証言を束ねて反撃を開始。皇帝の決断、親子関係の崩壊。そして李蓉は前世の惨劇がよぎるのでした。
※この記事はドラマ『度華年』のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
この記事で分かること
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李蓉が七大姓と学徒をまとめ、不正追及で主導権を握った理由
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柔妃の策と粛王派が崩れた背景
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皇帝と柔妃の関係が決定的に壊れた過程
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冬嬉での粛王即位計画と李蓉が抱く前世の恐怖
度華年29話 :督察司を得た柔妃と粛王の動揺
あらすじ
柔妃は崔玉郎の助言を信じ、李蓉を呼び出して偽の訴訟話を持ち出します。翌日の朝議で王厚文が李蓉を弾劾し、皇帝は彼女に辞表を書かせて督察司を手放させました。
粛王と柔妃は督察司を得たものの、学徒たちが宮門で不正調査を求めて直訴。温行之が三つの改革案を出して、柔妃は勢いで引き受けたものの処理に苦しみます。崔玉郎は皇帝の意図を説明し、二人が上手く動けば太子を追い落とせると説きました。
翌朝、李蓉は辞表を提出し、粛王が督察司を引き継ぎました。その後、彼女は裴文宣の家を訪ね、太子を守るために無茶をした彼を叱りつつ和解するのでした。
注目点:温行之の「三つの要求」はどんな意味があるのか?
温行之は宮門前で世家に牛耳られた現状を真っ向から批判。以下の三つの要求を突きつけます。
- 受験枠横領の徹底調査
- 皇帝自らが臨む殿試の導入
- 科挙を唯一の官僚登用ルートとし、世家の推薦ルート廃止
この瞬間、場内は騒然となり、柔妃の顔色も一気に青ざめます。彼の訴えは単に「一件の不正を正せ」というレベルではなく、世家が長年握ってきた官職への近道そのものを破壊するものでした。死を覚悟しての直言だからこそ柔妃も軽々しく退けることができません。
歴史的には隋唐で科挙が整備され、宋代に入ると殿試(皇帝自らが最終選抜を行う試験)が本格化。貴族や名門の推薦に頼らない「試験による登用」が広まっていきました。その過程で、門閥貴族の力は徐々に弱まり、「学問と試験成績」を武器にした寒門出身官僚が台頭します。それでも推薦枠は清朝まで残り、安定した役人供給源になっていました。
温行之の提案は史実では数百年の変化以上のものを一気に進めようとする壮大な改革案です。
度華年30話 柔妃の暴走と裴文宣の投獄
あらすじ
蘇容卿は背後の黒幕を探ろうと柔妃に警告。柔妃は寒門をまとめて粛王を支えるつもりだったのが、不正事件へ関わたため粛王の名声に傷が就くかもしれないと気づきます。
裴文宣が皇帝の命令で督察司に入り、柔妃は彼の名声を利用して科挙調査を主導。柔妃は事件が片付いたと判断して裴文宣に替え玉追及の取り下げと王厚文拘束を指示します。
裴文宣が王府を包囲すると、蘇容卿は「無礼な侵入」を理由に彼を投獄。李蓉が急行して救出して外向けには「公主が連れ戻した」という形で庇います。
一方、柔妃は侮辱的な文を見て激怒。証拠を無視して王府へ押し入り王厚文を拘束するのでした。
注目点:柔妃はいつ権力の罠にはまり始めたのか?
柔妃は科挙不正を追求「権門を恐れぬ寒門出身の貴妃」として民衆の喝采を浴びます。ところが名声と権力が手に入った途端、彼女の関心は「学徒の正義」から「異分子の排除」へとすり替わり、裴文宣に学徒たちを丸め込み替え玉追及を手仕舞いするよう迫ります。さらに王厚文を見せしめにして世家全体を震え上がらせようとする姿には「寒門の味方」から「自分の権勢のために寒門を利用する側」へと立場が反転し始めた危険性が漂います。
歴史上でも低い身分から権力を手にした人物ほど、いったん権力を手にすると自分が新しい特権階級者になってしまうことは多いです。唐末や明末の「清流派」官僚の中にも、最初は汚職追及を掲げていましたが、のちには派閥争いを繰り返し国を混乱させました。
李蓉が静蘭に語る「権力は人心を腐らせる」という言葉は柔妃の現在だけでなく、王朝時代から現代の中国政界でも繰り返されてきた争いのパターンそのものと言えます。
度華年31話 柔妃失脚と皇帝の決断
あらすじ
皇帝は国内外の問題を整理して国家再建を語りますが、裴文宣は彼の体が限界に近いと理解していました。
その頃、柔妃は科挙を利用して粛王派を広げようとし、裴文宣にも協力を求めます。世家の者たちは李蓉に接触し、李蓉は世家と学徒の証言を集めて柔妃の不正を暴く準備を整えました。
翌日、殿上で多くの証人が不正と脅迫の事実を述べ、皇帝も擁護できず柔妃の拘束を命じました。
しかし李蓉は勝利よりも、世家と寒門の争いが続く現実を強く感じるのでした。
李蓉はなぜ世家と学徒という敵同士を味方にできたのか?
七大姓は皇帝と正面衝突する気はなく、李蓉を傀儡として前に立たせようとしているだけ。李蓉はその目論見を見抜いて柔妃は世家にとっても寒門にとっても将来の脅威でだと突きつけます。その結果、世家の子弟も学徒も、さらには柔妃に恨みを持つ者までが一斉にひざまずき、李蓉を先頭に柔妃弾劾の大合唱が起こるのです。
歴史的にも「利害が一致した一瞬だけ、普段は敵対する層が同じ陣営に立つ」「敵の敵は味方」という現象はよくあります。例えば宋・明では名門の士大夫と下級官僚・儒生が、特定の宦官や外戚を標的に弾劾で連携することがありました。
でも、その同盟は一時的なもの。李蓉が作り出した「世家+寒門+学徒」の共同戦線も根本の対立が解消されたわけではなく、柔妃を倒すことだけを目的にしたた脆い同盟です。だからからこそ彼女自身も勝利に素直に喜べず、むしろ虚しさを覚えるのでしょう。
度華年32話 前世の惨劇を恐れる李蓉
あらすじ本文
柔妃はもう逃れられないと考え、華楽を利用して冬嬉で太子と李蓉を排除する計画を進めます。華楽は蕭明から計画を聞き喜びますが、蕭明はその浅はかさに失望し皇帝へ密告。
皇帝は太子に母か自分かの選択を迫ると、太子は母を選びます。
李蓉は前世の悲劇を思い出し恐怖に囚われると、裴文宣は前世の二の舞いは踏ませないと約束します。
皇后は李蓉に密道で傾州へ逃げる案を示して自ら犠牲になる覚悟を見せました。
一方、藺飛白は上官雅との政略婚で謝家を抑えるようと考え。上官雅は家を守るため感情を捨て蘇容華と決別します。
李蓉は藺飛白が謝春和を殺す計画を知り、秦臨が李蓉を助けようと戻りますが。途中で崔清河に裏切られ負傷、荀川も捕らえらるのでした。
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