中国ドラマ「後宮の涙」は、中国の南北朝時代を舞台にした宮廷ドラマ。
主人公の陸貞(りくてい)が後宮で生き抜き、女官から宰相へと上り詰める姿を描いています。
物語は陸貞が継母に父を殺害されたことから始まります。復讐を誓い宮廷入りを目指す陸貞は、皇子・高湛と出会い、惹かれ合います。しかし、後宮は陰謀と策略が渦巻く場所であり、陸貞は様々な困難に直面します。
持ち前の知恵と勇気を武器に、陸貞は後宮で頭角を現していきます。高湛との恋や、女官としての成長、そして宮廷内の権力争いなど、見どころ満載のドラマです。
史実を基にしながらも、ドラマティックな展開や魅力的なキャラクターが加わり、視聴者を飽きさせない作品となっています。
「後宮の涙」の時代背景・主なあらすじ・登場人物とキャストを紹介します。
後宮の涙 はヒロイン 陸貞の生涯を描くドラマ
物語の舞台は中国北斉時代の宮廷
陸貞は役人の娘
主人公・陸貞(演:チャオ・リーイン)は、代々役人の家柄に生まれ、聡明で美しい娘に育ちます。でも継母によって父を殺害されてしまいます。家にいられなくなった陸貞は復讐を誓い宮廷入りを目指すのでした。
宮廷への道
陸貞は官籍を持たないため、女官の試験に落ちてしまいます。そんな中、皇后に命を狙われていた皇子・高湛(演:チェン・シャオ)を救ったことで、彼から特別な玉飾を授けられます。
その玉飾のおかげで陸貞は宮女として後宮入りを果たすことができました。
後宮での生活
後宮に入った陸貞は様々な困難に直面。陰謀や策略が渦巻く後宮で、生き抜くために知恵と勇気を振り絞ります。
高湛との出会い
陸貞は皇子・高湛と互いに惹かれあいます。でも二人の間には様々な障害があるのでした。
女官としての成長
陸貞は持ち前の知恵と努力で次第に頭角を現し、下級の宮女から高位の女官となります。
やがて中国史上初で最後の女宰相となるのでした。
後宮の涙 登場人物・キャスト
陸貞(りく・てい)
北斉の豪商・陸家の長女。心優しいく聡明な少女。
実は実父は陸謙で、陸賈の娘ではありません。陸賈の正妻・趙氏は陸貞を疎ましく思い陥れようとします。
追放された陸貞は婁氏に命を狙われる皇子・高湛と出会い、互いに惹かれ合います。その後、陸貞は後宮に入り実の父・陸賈の仇を討つために女官を目指すのでした。
1987年10月16日生
出身:河北省
他の出演作:
「明蘭・才媛の春」盛明蘭
「楚喬傳」楚喬
「有翡」周翡
「蒼穹の昴」李玲玲
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個人的には「楚喬伝」のキリッとしたイメージが強いチャオ・リーインさんですが。こんなにかわいらしい時期があったんですね。(撮影当時は24歳)
史実の陸貞(陸令萱)
陸貞はドラマの名前。歴史上の名前は陸令萱(りく れいけん)、陸媼(りく・おう)とも言われます。
東魏の将軍・駱超の妻でしたが、駱超の反乱失敗により北斉の後宮入り。有能さから武成帝 高湛や皇后に気に入られ、皇子・高緯の乳母になりました。
高湛の死後、高緯が即位すると陸令萱は女侍中として権力を握り、政敵を排除、都合の良い人事を行い、賄賂を横行させました。太后の座を狙うも叶わず、北周の侵攻で北斉が滅亡すると息子の穆提婆が北周に降伏したため自害しました。
歴史的には評判の良くない人物ですが。宮廷で大きな力を持った女性ということもあり。「後宮の涙」や「独孤伽羅」では陸貞の名前で登場。有能で善良な人物として活躍します。
ドラマの陸貞はかなり脚色され。宮廷に入るまでの経緯が全く違います。

高湛(こう・たん) 長広王
北斉の皇太弟・高湛は文武両道に秀でた情熱的な人物。
母・郁皇后が婁昭君に毒殺され、兄・高演が皇帝に即位。高湛は復讐を誓い、婁氏に命を狙われる中で陸貞と出会って惹かれ合います。
1987年7月5日生
他の出演作:
「獨孤皇后」 楊堅
「夢華錄」 顧千帆
「大秦帝国2」羋琰
「月に咲く花の如く」 沈星移
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「夢華録:顧千帆 」はもちろん「独孤皇后:楊堅」のころよりも若い!(撮影当時は24歳)

陸家の人物とキャスト
陸珠(りく・しゅ)
陸貞の妹。陸賈と趙瑛蘭の娘。
陸貞のことを姉のように慕っています。陸貞を逃がす手助けをして陸貞が死んだと趙夫人に思わせました。その後、陸貞の元婚約者である李誠と結婚することになります。
陸賈(りく・か)
北斉でも有数の豪商。陸貞の養父。薛瑾、趙瑛蘭の夫。
陸貞を実の娘のように大切に育てていました。妻の趙夫人は陸家の財産を陸貞に渡すことに不満で、陸貞を毒殺しようとしました。しかし誤って陸賈が毒を飲んで亡くなってしまいました。
1958年6月5日
趙瑛蘭(ちょう・えいらん)
陸賈の妻。陸珠の母。陸貞の継母。
財産目当てで陸貞を殺そうと企みますが、間違って夫の陸賈を殺害してしまいます。陸貞を追い出した後は陸家を乗っ取りますが、弟の趙全とともに事業に失敗。陸家を没落させます。
1970年8月24日生
出身:上海
出演作:
「コウラン伝」高敏
「秀麗伝」郭主
薛瑾(せつ・きん)[故人]
陸謙の妻。後に陸賈の妻。陸元・陸貞の母親。
すでに故人。
元々は郁皇后の女官長。宮中にいたころ婁氏の陰謀を知ったため夫の陸謙が殺害され、命を狙われました。妊娠中でしたが息子の陸元を連れて洛水に身を投げたものの救助され陸貞を出産。その後、病死しています。
北周王室のキャスト
高演(こう・えん)常山王/孝昭皇帝
高歓と婁昭君の息子。高湘・高湛とは異母兄弟。蕭喚雲の夫。
兄弟思いで弟の高湛を皇太弟に任命し、次の皇帝にしようと考えていました。陸貞の商売にも興味を持ちその才能を高く評価していました。蕭喚雲との関係を改善しようと苦労しています。
1987年10月15日生
2016年9月16日没
他の出演作:
「テニスの王子様(中国版)」齊遠
高湘(こうしょう)
北斉の長公主。母は郁皇后。高湛の同母姉。弟の皇族としての行動を心配する優しい心の持ち主。
婁皇太后にも気に入られていましたが、実母が婁氏に殺されたことは知りませんでした。身分の低い陸貞と高湛が結ばれることを快く思っておらず、夫の徐顯秀がいる平州から都に戻った時には高湛を説得しようとしました。
1983年2月2日生
遼寧省出身
出演作:
「独孤伽羅」 獨孤曼陀
「明蘭」朱曼娘
「霓裳」雲娘
蕭喚雲(しょう・かんうん)
南部を支配する梁の公主。12歳で人質として北斉に送られました。その後、梁は滅亡。
彼女は北斉で年の近い高演、高湛と共に成長。高湛を慕い、将来は彼と結婚することを誓い合っていました。しかし、当時まだ貴妃だった婁昭君(後の皇后)と皇帝の策略により、兄の高演と結婚させられてしまいます。
そのため婁皇太后や高演には反抗的な態度をとり続け、高湛と再び結ばれる日を夢見ていました。
1981年6月3日生
雲南省出身
出演作:
「玉楼春」孫有貞
「清越坊の女たち」曽宝琴
婁昭君(ろうしょうくん)
貴妃→皇后→皇太后
神武皇帝の貴妃、後に皇后。高演の生母。高演即位後は皇太后。
権力を握るためには手段を選ばない残忍な性格。本来の皇位継承者であった高湛ではなく、実子の高演を皇帝にして権力を得ました。高湛をはじめ自分にとって脅威となる人物を排除しようとします。
このドラマのボスキャラ的存在。
1959年11月12日生
北京出身。
香港の女優。
出演作:
「宮 パレス」徳妃
「宮廷の諍い女」皇太后 烏雅·成璧
「王女未央」大涼太后
・婁昭君は本当に悪女だったのか?北斉を支えた女傑の知られざる真実
郁久閭烏兀帖(いくくろ・うこつちょう)
神武皇帝皇后、通称・郁皇后。
柔然の姫として生まれ、神武皇帝 高歓の妻となりました。
後宮で最も高い位にいましたが、高演を皇帝にしようとする婁昭君の陰謀により毒殺。亡くなる前に高湛に婁氏を打倒して皇帝になるよう遺言しました。
1969年12月4日生
四川省出身
出演作:
「瓔珞」裕太妃
「コウラン伝」雪黛
後宮の涙 時代背景
ドラマの舞台になるのは6世紀中ごろの中国南北朝時代。
北斉の成立と文宣帝の死後の権力争い
北斉は6世紀に華北の東半分を支配していた国。
550年。東魏の宰相・高洋は孝静帝から皇位を奪い北斉を建国。
北斉の初代皇帝になった文宣帝 高洋は政治改革や文化振興に尽力し北斉の基礎を築きましたが、晩年は酒色に溺れるなど政治への関心が薄れていきました。
559年に文宣帝が亡くなると息子の高殷(廃帝)が即位しましたが、まだ幼かったので、実権は文宣帝の弟 高演が握りました。太皇太后 婁昭君と高演は高殷を廃位し、高演が皇帝の座につきました。
ところが、その後まもなく亡くなり弟の高湛(武成帝)が即位しました。
文宣帝の死後、北斉では皇族間の権力争いが激化。政治は不安定になります。
文宣帝の時代は西魏(北周)よりも強力な国でした。しかし内紛の多い北斉の国力は徐々に衰え、577年に北周に滅ぼされてしまます。

6世紀中ごろの東アジア
北斉の文化と社会
北斉では仏教が盛ん。多くの寺院が建立されました。芸術も発展し、龍門石窟などの石窟寺院の造営が盛んに行われました。
ドラマが始まるのは文宣帝の死後
ドラマは文宣帝が死去したところからドラマは始まります。
史実と違い高殷の即位はなく。いきなり高演と高湛の皇位争いが起こります。高演の母・婁昭君がかなり野心家として描かれ。高演以上に息子の即位を望んでいます。
史実では高演と高湛はどちらも婁昭君の息子ですが、ドラマでは高湛の母は先の郁皇后(故人)の息子となってますが。柔然人の郁氏(郁久閭·烏兀帖)は実際には高湛の母ではありません。
史実通り高演が皇帝に即位。それでも皇太后・婁昭君は高湛を疎ましく思い排除しようとします。
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