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蘭陵王 あらすじネタバレ全話まとめ

中国ドラマ「蘭陵王」は南北朝時代の実在の武将 高長恭 を主人公にした歴史ドラマです。

この記事では『蘭陵王』全46話をネタバレ込みで紹介。出会い〜洛陽城、宮廷の愛憎、毒杯と北斉崩壊までの転換点と見どころを分かりやすく紹介します。

この記事で分かること

  • 1話〜最終回までの大まかな流れと、章ごとの注目点
  • 洛陽城の戦い、婚儀、父殺し、毒杯など“外せない回”の要点
  • 鄭児(のちの馮小憐)・高緯・宇文邕が物語を動かす仕組み
  • 史実とドラマ脚色の違いを踏まえたラストの描かれ方

 

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あらすじネタバレ解説

あらすじ全話一覧

登場人物紹介

時代背景

ドラマの見どころ

 

 

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『蘭陵王』はどんなドラマ?

古代中国・北斉の皇族で伝説的な将軍だった高長恭(こう ちょうきょう)の生涯を描くドラマです。激しい戦闘シーンとドロドロした宮廷内の人間関係、切ない恋愛。

蘭陵王は戦場では無敵の強さを誇る将軍ですが本当は争いを好まない人物。でも宮廷に戻れば、その圧倒的な実力がかえって周囲の反感や警戒を買ってしまうのです。

愛する女性を守ろうとする真っ直ぐな思いが、かえって対立を招くきっかけにもなります。

隣国の北周との戦争が激しさを増すなかで功績を上げるほど疑われていくという皮肉な状況が、高長恭と物語の大きな軸になっています。

主人公・高長恭はどんな人?

高長恭は、北斉の皇族として生まれ「蘭陵王(らんりょうおう)」という称号を持つ将軍です。史実では541年頃に生まれ、573年にこの世を去ったと記録されています。

彼の最大の特徴は、皇族という高貴な身分でありながら、常に最前線に立って軍を率いた点でしょう。「邙山(ぼうざん)の戦い」などで目覚ましい勝利を収め、国を救う英雄となりました。しかし、その輝かしい実績は、時の皇帝から見れば自分の地位を脅かす危険な存在に映ります。ドラマでは、この歴史上の事実をベースに、一人の武将としての苦悩や生き様をリアルに描き出しています。

 

ドラマの舞台

舞台となるのは6世紀の中国。当時の中国は斉・周・陳の3つの国が争う時代でした。また北方のモンゴル高原には大国の突厥がいて大きな脅威となっていました。

6世紀中頃の中国南北朝時代の勢力地図

  • 北斉(ほくせい)
    正式な国名は「斉」。華北を支配した王朝。高長恭はこの国の皇族です。
    「後宮の涙」の舞台になった国。
  • 北周(ほくしゅう)
    正式な国名は「周」。北斉と対立した王朝。のちに中国統一へ近づく勢力です。「独孤伽羅」「独孤皇后」の舞台になった国。
  • 陳(ちん)
    華南の王朝。華北の勢力に押されがち。
  • 突厥(とっけつ)
    北方の遊牧国家。史実では北斉や北周と同盟・対立を繰り返しました。

ドラマで高長恭が活動するのは北斉と北周。最低限この2つの国が争っているというのさえ覚えておけばいいです。陳と突厥はドラマではほとんど出てきません。

 

ドラマ「蘭陵王」の放送年・話数・原題

原題:蘭陵王
放送:2013年(台湾・中国制作)
話数:全46話

南北朝時代を題材にした歴史ロマンス作品です。

 

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蘭陵王 あらすじ ネタバレまとめ

運命の出会いと洛陽城の戦い(第1話〜第15話)

物語の核:白山村の出会い

霧深い「白山村」で、俗世から離れて暮らしていた巫族の少女・楊雪舞。彼女が偶然出会ったのは、傷ついた愛馬を洗う一人の美しい男でした。この出会いが後に「天女」と「戦神」として語り継がれる物語の始まりなのです。

9話:物語前半のハイライト 洛陽城の戦い

9話では北斉の存亡をかけた戦いが行われます。洛陽が10万の北周の軍勢に包囲され。蘭陵王はわずかな手勢で救援に向かいます。周軍を蹴散らして城門に駆けつけ馬上で軍神の仮面を外し素顔を披露するシーンは、ドラマの中でも印象に残る場面です。

歴史の視点:500騎で大軍を破った邙山の戦い

ドラマの洛陽の戦いは、史実では西暦564年の「邙山の戦い」として記録されています。

  • 伝説の500騎: 『北斉書』などの史書によると蘭陵王はわずか500騎の精鋭を率いて北周の幾重にも重なる包囲網を突破。金墉城の門下までたどり着いたとされています。
  • 仮面の真実: 城内の味方は、その将軍が敵か味方かわからなかったので蘭陵王が兜(または面具)を脱いで素顔をさらしたところ、味方だと分かり一気に形勢を逆転させたといいます。
  • 「蘭陵王入陣曲」の誕生: このあまりに鮮やかな勝利を称え、その勇姿を歌い踊ったのが「蘭陵王入陣曲」の元になったとされます。この舞は日本にも伝わり雅楽の伝統的な演目として現在でも演じられています。

 

宮廷の陰謀と皇位争い(第16話〜第30話)

物語の舞台は戦場からドロドロの宮廷へ。愛と権力が複雑に絡み合い、歴史の歯車が大きく動き出します。

注目点:覚醒する宿敵、そして愛を裂く「鄭児」の執念

第17話:北周の主・宇文邕の逆襲

長年、権臣・宇文護の傀儡に甘んじていた宇文邕(うぶんよう)がついに牙を剥きます。緻密な罠で宿敵を粛清し、名実ともに北周の主へ。この「名君の覚醒」が、後の北斉の運命を決定づけることになります。

第19話〜:あまりに切ない婚儀と鄭児の暗躍

ついに結ばれた高長恭と雪舞。しかし、その幸せを蘭陵王府の陰から見つめる女がいました。蘭陵王を愛するがゆえに、その幸せを壊すことだけに命を懸ける鄭児。彼女の卑劣な罠により、鉄の絆で結ばれていたはずの長恭と雪舞の関係に、決定的な亀裂が走り始めます。

第30話:衝撃の父殺し、そして「最凶ペア」の誕生

30話ではドラマ最大の禁忌が描かれます。鄭児の言葉に惑わされた皇太子・高緯は父である皇帝・高湛の暗殺を決意。実の父を殺害するという凄惨な手段で帝位を奪い取ります。この瞬間、北斉は完全に「狂気の時代」へと突入したのです。

歴史の視点:ドラマの大胆脚色:史実の高湛の最後は?

第30話の皇帝殺害は、ドラマオリジナルの衝撃展開です。

史実では皇帝・高湛は撲殺されたわけではありません。565年には息子(高緯)に譲位して太上皇となり、568年に病(過度の飲酒が原因とも)で没しています。

なぜドラマは暗殺を描いたのでしょうか?: 史実通りの病死ではなく、あえて鄭児の助言による「父殺し」を描くことで、高緯の狂気と鄭児の邪悪さを強調。史実の軟弱な高緯ではなく、より悪役らしいキャラとして描かれているのです。

 

皇帝 高緯と悲劇の英雄(第31話〜最終話)

物語はついに、北斉という国の崩壊と、高長恭・雪舞・宇文邕の運命が交錯するクライマックスへ。

注目ポイント:身分を捨てた愛、そして仮面の義士の再臨

第31話〜32話:身代わりによる「馮小憐」誕生

ついに皇帝となった高緯ですが、その背後には「鄭児」という毒婦の影がありました。彼女は親友である宮女・馮小憐を殺害し、その名を奪うことで新たな身分を手に入れます。ここから、歴史に名を残す「妖女・馮小憐」としての暴走が始まります。

第35話〜36話:英雄の死と、毒杯の真実

「お前がいる限り、私は名君になれない」。高緯のあまりに身勝手な嫉妬により高長恭は毒を賜ります。愛する雪舞を逃がし、一人毒をあおる蘭陵王。しかし、その死の裏には馮小憐による執着が生んだ「ある細工」が施されていました。

第45話〜最終回:北斉滅亡と散りゆく天女

北周・宇文邕の総攻撃が始まる中、高緯は馮小憐の化粧を待つために勝機を逃すという愚行を犯します。戦火の中で再会する長恭と雪舞。しかし、二人を待っていたのはあまりに切ない運命の矢でした。

 

歴史の視点:史実が伝える「北斉滅亡」のリアル

ドラマのドラマチックな展開と、歴史書『北斉書』が記す冷酷な現実を比較してみましょう。

蘭陵王のその後

史実では高長恭は毒酒を飲んだ時点で帰らぬ人となりますが、ドラマは彼を「仮面の義士」として蘇らせることで、民衆が抱いた「英雄に生きていてほしい」という願いを実現しています。

「馮小憐の化粧」は実話?

45話で描かれる「小憐の化粧を待って出兵が遅れた」というエピソードは、実は史実に記録されている有名な話です。彼女は戦場を「観戦」の場として楽しみ、皇帝の判断を狂わせたと言われています。

名将・斛律光(こくりつこう)の死

ドラマ35話〜45話にかけて描かれる名臣たちの粛清。特に斛律光が殺害された際、敵国である北周の宇文邕は「これで恐ろしい男がいなくなった。私が天下を取れる!」と大喜びしたという記録があるほど、北斉自滅の象徴的な事件でした。

 

最終回と新たな時代の始まり

雪舞が息を引き取るシーンは涙なしには見られません。史実では蘭陵王の死からわずか4年後に北斉は滅び、宇文邕が華北をを統一します。でもそれも長く続きません。

そして楊堅が隋を建国。約300年ぶりに中国は統一されるのでした。

 

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蘭陵王 全46話 あらすじ一覧

1話:白山村の雪舞が温泉で蘭陵王と出会い、祖母は2人の不吉な運命を予見する。

2話:雪舞は蘭陵王を村へ連れ帰り、成人の儀で彼が雪舞の帯を受け取り祖母が交際を禁じる。

3話:雪舞は韓暁冬に騙され闇娼館へ売られ、蘭陵王は須達救出のため潜入作戦を行う。

4話:女媧廟で雪舞と蘭陵王が夫婦を装って誓いを立て、須達を救出して包囲を突破する。

5話:雪舞は尉遅迥に捕らえられるが蘭陵王に救出され、その後単独で行動を始める。

6話:疫病の村を焼く命令が出る中、雪舞が治療に成功し、阿怪の正体が宇文邕だと判明する。

7話:蘭陵王が毒矢で倒れ、高緯が兵を奪い、雪舞は解毒薬を求めて周へ向かう。

8話:雪舞は宇文邕から解毒薬を奪い、周軍は洛陽へ進軍する。

9話:蘭陵王が軍神の面をつけて出陣し、500騎で洛陽城を救う。

10話:雪舞が予言を思い出して蘭陵王と距離を取り、高緯が嫉妬を強める。

11話:周では宇文邕と宇文護が対立し、斉では蘭陵王の正妃冊立が提案される。

12話:蘭陵王の妃選びが始まり、鄭児が候補として現れる。

13話:皇后と祖珽が鄭児を利用し、雪舞が刺客に襲われ宮廷を去る決意をする。

14話:雪舞が戻って蘭陵王の冤罪を晴らし、祖珽が処罰され胡皇后が廃される。

15話:雪舞が周に連れ去られ、宇文邕が宇文貞の治療を依頼する。

16話:雪舞が宇文貞を治療する中、宇文護が宇文邕に毒を盛る計略を進める。

17話:宇文邕が宇文護を粛清し、雪舞と蘭陵王を解放して停戦を約束する。

18話:蘭陵王が停戦文書を提出し、高緯が仏寺建立を強行する。

19話:雪舞と蘭陵王が正式に婚礼を挙げ、鄭児が復讐を決意する。

20話:妾を迎えなければ災いが起こると予言され、宇文邕が民を周へ移動させる。

21話:鄭児が韓暁冬を陥れ、暁冬が蘭陵王府を去る。

22話:皇太后が倒れ、蘭陵王と雪舞の間に不信が生まれる。

23話:雪舞の仮病が鄭児に暴かれ、蘭陵王が激怒する。

24話:蘭陵王が馬賊討伐に出陣し、雪舞が後を追う。

25話:鄭児の罠で雪舞が責められ、蘭陵王が鄭児を娶ると宣言する。

26話:蘭陵王が鄭児の悪事を暴き、連れ去られた雪舞を救出に向かう。

27話:雪舞が白山村で祖母の死を知り、蘭陵王と宇文邕が対決する。

28話:皇帝が璋玉を蘭陵王に与え、高緯が強い危機感を抱く。

29話:祖珽が皇帝に皇位継承を迫る計略を進める。

30話:高緯が皇帝を殴打し、皇帝が死亡する。

31話:高緯が即位し、皇太后を殺害する。

32話:鄭児が馮小燐を毒殺して身分を奪い、高緯の妃となる。

33話:高緯が蘭陵王の兵権を奪い、仙都苑建設を進める。

34話:小燐が雪舞の命を要求し、干ばつを引き起こす。

35話:雪舞が高緯との婚儀に立たされ、蘭陵王が帰還して阻止する。

36話:蘭陵王が毒酒を賜って倒れる。

37話:雪舞が崖から落ちるが生存し、妊娠が判明する。

38話:韓暁冬が雪舞を守って死亡する。

39話:蘭陵王が仮死状態で幽閉されていた事実が明らかになる。

40話:蘭陵王が目覚め、小燐の監視下から脱出を図る。

41話:蘭陵王が身分を捨てて周へ潜入し雪舞の命が狙われる。

42話:蘭陵王が仮面の義士として斉で民を助け始める。

43話:雪舞が白い帯から義士の正体に気づき、祖珽に捕らえられる。

44話:蘭陵王が仮面を外して雪舞と再会する。

45話:高緯が出兵を遅らせ、斛律光を殺害。北斉が崩壊へ向かう。

46話(最終回):高緯が矢を放って雪舞と小燐を射抜き、自ら毒を飲んで命を絶つ。

 

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登場人物相関:北斉・北周の人々

ドラマ『蘭陵王』は華やかな宮廷の裏で常に誰が誰を疑い、誰が誰を利用しているかという危ういバランスの上に成り立っています。主要人物たちの関係性をまとめました。

1. 主人公側:悲劇の将軍を支える絆

高長恭(蘭陵王)を中心に、彼の清廉な志に惹かれた者たちが集まります。

蘭陵王 高長恭(こう ちょうきょう) 

演:ウィリアム・フォン

北斉の皇族。民を第一に考える英雄。その人望が皮肉にも皇帝の猜疑心を煽ることになります。

楊雪舞(よう せつぶ)

演:アリエル・リン

薬の知恵と予言の力を持つ「天女」。蘭陵王の運命を変えようと奮闘しますが、それが宮廷闘争の火種になることも。

安徳王 高延宗(こう えんそう)

演:ジョージ・フー

高長恭の弟。自由奔放に見えて兄への忠誠心は随一。宮廷の不穏な動きをいち早く察知する重要なバックアップ役です。

韓暁冬(かん ぎょうとう)

演:ウェイ・チエンシァン

雪舞を命がけで守る元賊の青年。名もなき民の視点から高長恭と雪舞を支え続ける「影の功労者」です。

 

2. 宿敵と悪女:破滅への誘い

蘭陵王を地獄へと突き落とす最大の敵対勢力です。

皇太子 高緯(こう い、後に皇帝)

演:ジャイ・ティエンリン

高長恭への強烈な劣等感を持つ皇太子。鄭児の毒に当てられ、父殺し、英雄殺しへと手を染めていく「悲しき暴君」。

鄭児(のちの馮小憐)

演:マオ・リンリン

蘭陵王への歪んだ愛が憎悪に転じた女。高緯を操り、北斉を内側から腐らせていく本作最強の悪役。

胡皇后(胡太后)

演:ダイ・チュンロン

高緯の母。自分の権力を守るために雪舞を敵視し、宮廷の混乱を助長させます。

 

 2. 北斉宮廷:狂気と嫉妬の迷宮

宮廷や朝廷の人々。

高湛(武成帝)

演:ジャオ・イー

北斉の皇帝。蘭陵王の才能を認めつつも、そのカリスマ性が自分の息子(高緯)を脅かすのではないかと恐れる、複雑な立場。

皇太后

演:リュウ・シャオチン

高長恭の祖母であり、宮廷の数少ない良識派。しかし、それゆえに高緯や鄭児にとっては邪魔な存在となります。

斛律光(こくりつこう)

演:ルー・ヨン

北斉の名将。高長恭とは戦友であり、共に国を支える「双璧」ですが、のちに犠牲となります。

 

4. 北周:虎視眈々と天下を狙う強国

北斉の混乱を冷徹に見つめ、一気に天下統一を狙うライバル勢力です。

武帝 宇文邕(うぶん よう)

演:ダニエル・チャン

北周の皇帝。蘭陵王最大のライバルであり、雪舞に恋心を抱く一人の男。私情を捨てきれない高緯とは対照的に、国を富ませる冷徹な政治家。

宇文護(うぶん ご)

演:ジョン・シャオピン

北周の実権を握っていた重臣。宇文邕の最大の壁でしたが、第17話で非業の死を遂げます。

 

楊堅(のちの隋・文帝)

演:ハン・ドン

1話と終盤の数シーンのみの登場ながら、物語を締めくくる超重要人物。

 

感想

この相関関係を見ると、高長恭は外敵(北周)よりも、身内(北斉側)の人bと追い詰められていったことがわかります。

歴史的にも北斉は内紛で弱体化したといわれるほど。ドラマでもよく表現されていると思います。

 

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蘭陵王の時代背景 北斉と北周の力関係

北斉は優勢だったが弱体化した

蘭陵王・高長恭が生きた6世紀後半は、南北朝時代の末期にあたります。北方では東魏から分かれた北斉と西魏を継承した北周が対峙していました。

出発点では、東魏の流れを引く北斉の方が人口・経済力・軍事規模の面で優位にありました。しかし、時代が進むにつれて戦力の均衡は変化します。

卓抜鮮卑系王朝

卓抜鮮卑系王朝の歴史

 

西魏以来の府兵制を基盤にした北周は、宇文泰の制度設計を宇文護が維持し、その後、武帝・宇文邕が皇帝主導で再編しました。軍事と財政の統制が強まり、国家の一体性が高まります。

一方の北斉では、皇帝交代や宮廷内対立が続き、有力将軍の処断も起こりました。軍事力そのものは大きくても、統制の不安定さが徐々に影響します。

こうして6世紀後半には北周が攻勢に出る状況が整い、最終的に北斉は北周によって滅ぼされます。

ドラマ「蘭陵王」は、この北斉と北周の力関係が逆転していく時期を舞台にしています。

 

歴史年表:ドラマの舞台はどこ?

ドラマのストーリーを歴史に当てはめると、以下のようになります。

年代(西暦) 歴史上の出来事 ドラマでの展開
541年 蘭陵王(高長恭)誕生 物語の前日譚
560年 宇文邕が北周の皇帝に即位 ライバル宇文邕の台頭
564年 邙山の戦い 物語前半のハイライト。
蘭陵王が500騎で敵軍を突破。
573年 蘭陵王、毒杯を賜り死去 物語のクライマックス
577年 北斉が滅亡 物語の終焉

 

蘭陵王の立場

蘭陵王・高長恭は北斉を実質的に築いた高歓の長男・高澄の子です。家の系譜で見ると、高澄の系統は有力な嫡流に近い位置にありました。

しかし北斉の皇位は、高澄の弟である高洋の系統へ移ります。そのため、高長恭は皇族でありながら皇帝家の直系とは異なる立場に置かれていました。

北斉家系図

北斉家系図

さらに高長恭は軍事面で実績を挙げ、兵士や民衆の支持を集めます。皇族であり、血統的にも有力でしかも戦功がある。

この条件は政治的に見れば警戒の対象になりやすい位置でもありました。ドラマでは民の人気や功績が強調されますが、史実上も「皇族の有力将軍」という立場が微妙なバランスの上にあったことは確かです。

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ドラマの見どころは?

この物語は、大きく3つの要素で成り立っています。

まずは、北斉と北周が繰り広げる激しい戦争。物語の前半から中盤にかけて、ダイナミックな軍事作戦がストーリーを力強く動かしていきます。

次に、宮廷内で渦巻く権力争いです。高長恭が戦場で結果を出すほど、皇帝や重臣たちは彼を疑い、追い詰めようとします。この張り詰めた空気感が、視聴者を物語に引き込むスパイスになっています。

 

宮廷の権力争いと高緯の狂気が蘭陵王を追い詰める

蘭陵王 高長恭が戦場で目覚ましい結果を出すほど、皮肉にも皇帝や重臣たちは彼への疑いを強めていきます。

なかでも皇太子の高緯とその母・胡皇后は民衆から圧倒的な支持を得る高長恭の存在を誰よりも恐れていました。高緯は自分にとって耳ざわりのいい言葉ばかりを並べる側近を信じ込んでしまう危うい弱さを持った人物です。

やがて彼が皇帝の座に就くと、その精神的な脆さは狂気へと変貌していきます。高緯の暴走は高長恭を絶体絶命の窮地へ追い込むだけでなく、国そのものの運命さえも大きく変えてしまうことになるのです。

 

高長恭と楊雪舞をめぐる者たちの思惑

高長恭と恋に落ちる楊雪舞は予知能力を持つために「天女」と崇められる存在です。その特別な能力を政治的に利用しようと目論む者たちが現れます。

ただでさえ手柄を立てるたびに宮廷内で孤立し危うい立場に立たされている高長恭。そこに能力ゆえに狙われる彼女を守るという重荷が加わり、ストーリーはより一層緊迫した展開を見せていきます。

さらに高長恭への憧れから王妃の座を虎視眈々と狙う鄭児の存在も不気味です。高長恭のためなら友人を亡き者にして地位を手に入れ近づく、そんな怖さを持ち高緯すら操り野望を実現しようとするのです。

天女を巡る国家間の争いに、女性たちの嫉妬や執着が絡み合い物語は目が離せない愛憎劇へと発展していくのです。

 

恋と野望が火花を散らす、もう一つの戦い

北周の皇帝・宇文邕の存在もこのドラマを語る上で欠かせません。当初、彼は楊雪舞の持つ「天女」としての能力を自国の利益のために利用しようと近づきます。しかし行動を共にするうちに彼女の純粋で芯の強い人柄に一人の男として心奪われていくのでした。

ここで戦場での宿敵であった高長恭と宇文邕は一人の女性を巡る恋のライバルとしても火花を散らすことになります。冷徹な野心家である宇文邕が雪舞への愛に苦悩し、最終的には彼女の意思を尊重して身を引く決断をする姿はこのドラマの大きな見どころです。

歴史的に見れば宇文邕は華北を統一して時代の勝者になりました。でもドラマの宇文邕は愛する人の心を得ることはできず、恋には敗れたといえるでしょう。一方で高長恭は過酷な運命の中で雪舞との愛を成就させますが、現実の世界ではあまりにも切ない最後が待ち構えているのでした。

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王朝時代劇
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この記事を書いた人

歴史ブロガー・フミヤ

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京都在住。2017年から歴史ブログを運営し、これまでに1500本以上の記事を執筆。50本以上の中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを正史(『二十四史』『資治通鑑』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。

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