中国ドラマ『明蘭〜才媛の春〜』で強烈な印象を残す人物が、盛家の四女 盛墨蘭です。
嫉妬と虚栄、計算高さで周囲を振り回してきた墨蘭ですが、ドラマではどんな最後を迎えるのでしょうか。彼女の最後にはどんな意味があるのか詳しく紹介します。
この記事で分かること
- 墨蘭の最後(結末)はいつ決着するのか?
- 71話後半がクライマックスになる理由
- 73話で描かれる墨蘭の変化
- 墨蘭が離縁されない理由を宋代の価値観で読み解く
※この記事はドラマ『明蘭』のネタバレを含みます。
墨蘭の最後は71話後半がクライマックス
ドラマを観ていて「墨蘭って結局どうなったの?」と首をかしげる方も多いのではないでしょうか。実は彼女の物語としての実質的なクライマックス(決着)は最終回の73話ではなく、71話の後半にあります。
ここで彼女は夫に見限られ、関係が破綻。その後は派手な処分や事件は描かれず、静かに孤立している様子が描かれる後日談のような扱いです。
具体的に彼女がどのような末路をたどったのか、ポイントを絞って解説します。
崩壊の引き金:71話、夫・梁晗との決定的な決別
71話の後半、明蘭が夫の冤罪を晴らそうと奔走し窮地に立たされています。墨蘭はそれを見て「ようやく勝った」と優越感に浸っていました。でもその直後に彼女自身も敗北を味わうことになります。
墨蘭の裏切りと孤立
屋敷に戻った墨蘭は夫・梁晗が侍女の秋江と密通している場面を見つけました。怒る墨蘭ですが梁晗は冷たく、侍女たちの心も離れており、誰も彼女の味方をしてくれません。
過去の悪行が露呈する
梁晗が彼女を完全に見限った最大の理由は妾・春珂の死産に関わる真相でした。墨蘭はかつて自分の母がしたように春珂を太らせ難産に追い込むという卑劣な手口を使っていました。
梁晗は怪しいと思って侍女を取り込んで情報を集め、ついに墨蘭のせいで子が死んだことを突き止めたのです。
それ以前にも墨蘭が梁晗との密会を仕組んで結婚にこぎつけたことがあり、すでに梁晗の心は墨蘭から放れていたのですが。71話は決定的な場面になりました。
なぜ母と同じやり方が通用しなかったのか
墨蘭は最後まで「母上はこれで勝ってきたのに、なぜ私はダメなの?」という疑問を抱えていたように見えます。
でも、そこには大きな違いがありました。
後ろ盾がいない
母・林噙霜は当主 盛紘の「偏愛」を武器に家の中の情報をコントロールできました。一時は林噙霜が家政を仕切るくらい寵愛されていたのです。
でも梁晗はもともと女好きで一人に入れ込むタイプではありません。墨蘭は母ほどの寵愛は得て得ていなかったのです。
外様としての弱さ
墨蘭は正妻ですが伯爵家の梁家という大きな組織の中では「外から来た嫁」に過ぎません。
五品役人にすぎない盛家とは家の大きさ、しきたりの厳しさや人の多さも違います。
経験の浅さ
林噙霜は側室ということもあり、長い年月をかけて盛紘の寵愛を勝ち取り。簡単にはボロがでないようにうまく立ち回りました。
でも墨蘭にはその根気強さがありません。正妻という地位に甘えて強引な手段をとっていたのが大きな違いです。
なぜ墨蘭は71話決着なのか?
墨蘭のストーリーが71話で実質的に終わってしまうのはドラマの都合でしょう。
72話以降で皇帝と皇太后の対立という国家の命運。顧廷燁の復帰。顧廷燁と継母との決着という一番大事なイベントが描かれるから。盛家側のイベントに時間を使う余裕がないからだと思います。
ここで墨蘭のイベントを挟んでしまうと、テンポが悪いし「もうくどい」と視聴者が思うかも知れません。なので墨蘭は最終決戦直前のこの時期で終わらせているのだと考えられます。
最終回(73話)で描かれた墨蘭のその後
夫にも見捨てられ、その後どうなったの?と気になるところですが、でも最終回では彼女のその後が象徴的に描かれています。
墨蘭は離縁されていない
墨蘭が離縁されて追い出されたのか?というと、そうではありません。劇中では離縁されたという描写は一度もありません。
原作小説でも夫人としての地位は残ったものの夫との絆は戻らず寂しい余生を送ったと書かれています。ドラマでもその設定は生きていると考えられます。
73話では傲慢さが消えた姿が描かれますが
最終回(73話)では、盛家で祠堂(家廟)の再建祝いの宴が開かれ、親族が集まります。明蘭・如蘭・華蘭はそれぞれ夫との信頼関係も厚く、再会を心から喜び合っています。
そこへ墨蘭も姿を見せますが、夫の梁晗は同行していません。墨蘭は身なりこそ夫人としての体面は保っているものの、ひとり寂しく席につきます。
盛家の人々から避難されるわけではなく、家族として呼ばれている。でもどこか他人行儀な雰囲気です。
この場面ははっきりとした描かれ方でないので見方によってはいろいろ想像できます。
ここでは2つのパターンが考えられるでしょう。
家族として受け入れてもらえた
これまで彼女が犯してきた数々の過ち(駆け落ち同然の結婚、実家の名誉を汚したこと、姉妹への嫌がらせなど)を思えば、当時の価値観でいえば一族から追放されてもおかしくありません。
でも明蘭たちは最終的に彼女を同じ食卓に招き入れました。
これを孤独だった彼女がようやく家族の絆に触れられたひととき。少しだけと救われた。と考えることもできます。
「皮肉」としての対比
その一方で、このシーンは墨蘭にとっての残酷な現実を突きつけるものかもしれません。
他の姉妹(明蘭、如蘭、華蘭)は夫婦仲良く温かい家庭を築いて幸せそうにしています。
でも墨蘭は夫に愛想を尽かされ、婚家での地位も危ういまま一人きりで実家に顔を出しています。
華やかな家族団らんの中にいても、自分だけが何も手に入れられなかったことを思い知らされるという、苦い「罰」とうけとることもできるかもしれません。
原作との違いは救い?
ちなみに原作小説『知否知否應是綠肥紅瘦』では墨蘭は最後まで改心せず、家族との交流もほぼ断絶した状態です。寂しい晩年を過ごしたことを思わせる結末になっています。
当然、ドラマ版のように家族の集まりに呼ばれることはありません。
これは原作版が
だから、はっきりした裁きを描かず孤独に追い込まれることで一生苦しみ続ける。それが罪への償いになる。
という文学的な決着の付け方をしたと考えられます。
でも、ドラマでそれをやると重すぎます。
そこでドラマでは彼女を最後の集まりに参加させ。以前のような傲慢さが消え、一応は家族の輪にも入れてもらえる。
彼女にも救いを与えようとしたのではないでしょうか?
結局、ドラマを見ただけでは彼女が心から改心したかどうかは曖昧ですが、居場所を完全に失うことはなかったという意味では、まだ救いが残されていると言えます。
墨蘭が離縁されない理由とは?
彼女が離縁されず正妻の座に留まっているのは夫婦の絆が戻ったからではないでしょう。これは劇中では説明がないので想像になりますが。宋時代の価値観をみればある程度は検討がつきます。
伯爵家としてのメンツ(不祥事を公にしたくない)。
伯爵家にとって正妻の離縁は一族の不名誉になりやすく、しかも墨蘭との婚姻は不祥事を収めるための結婚でした。離縁して蒸し返されたら梁家の評判を傷つけることになります。
盛家との関係を切りたくない
終盤、顧廷燁は皇帝の側近となり、長柏も朝廷で地位を高めました。
梁家としても、墨蘭個人は憎くても盛家との縁を完全に断ち切るのが得策とは限りません。正妻の座を残しておいて家同士の関係を保つのは家にとっては意味があります。
「飼い殺し」による罰
離縁して追い出すより、屋敷の中で存在感を失わせるほうが、墨蘭の性格には重い罰になる可能性が高いです。
プライドの高い墨蘭にとって「正妻」の肩書きだけが残り、中身(愛や信頼)が空っぽのまま放置されるのは、離縁や死よりも残酷な罰だったのかもしれません。
まとめ:最後まで見ると哀れにも見える
墨蘭の結末は派手な罰よりもずっと現実的で重く感じました。
悪事が暴かれて処刑されるわけでも、追放されるわけでもなくただ誰からも必要とされなくなる。それが彼女にとって最も耐え難い結果だったのだと思います。
途中までは墨蘭はただの悪役だと思っていましたが、71話以降を見ると、母の成功体験を信じ続けた哀れさも感じました。
母と同じやり方をしても立場が違えば通用しない。その現実を突きつけられた気がします。印象深い悪役には違いありませんが、最後まで見ると印象が大きく変わったキャラクターといえますね。
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