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中国ドラマ「如懿伝~紫禁城に散る宿命の王妃~」75・76・77・78話のあらすじとネタバレ感想を紹介。
木蘭襲撃事件を機に皇帝の疑念が深まり、凌雲徹は宦官として如懿の前に現れる。忠義と愛が引き裂かれる悲劇の連鎖が始まる。
この記事では第75話から78話までのあらすじとの見どころ・歴史的解説をまとめて振り返ります。
※この記事はドラマ『如懿伝』のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
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如懿伝の登場人物
- 如懿(にょい)/皇后 演:ジョウ・シュン
- 乾隆帝(けんりゅうてい) 演:ウォレス・フォ
- 鈕鈷祿氏(ニオフルし)/皇太后 演:ヴィヴィアン・ウー
- 海蘭(ハイラン)/愉妃(ゆひ) 演:チャン・チュンニン
- 衛嬿婉(えい えんえん)/炩妃(れいひ) 演:リー・チュン
如懿伝75話 あらすじ:木蘭襲撃事件の波紋
要約
木蘭行幸の最中に刺客の襲撃により如懿と永璂が危機に陥る。凌雲徹が救出するが、皇帝の猜疑をさらに深める結果となる。
木蘭囲場での祝宴と如懿の決死の覚悟
木蘭囲場での祝宴のさなか、永璂は炩妃に強く引き止められ如懿は息子を連れて席を立ちました。
ところが草原で永璂が何者かに人質に取られ、如懿は迷わず自ら身代わりとなることを申し出ます。
駆けつけた皇帝の前で刺客は寒部の名を騙り、寒香見を奪い返すと叫びました。穎妃と寒香見の冷静な対応により偽装が暴かれ、凌雲徹が隙を突いて刺客を討ちますが自らも重傷を負います。
皇帝はその勇気を称え、凌雲徹に黄馬褂を賜りました。
皇帝の疑念と揺らぐ心
事件の後、皇帝の胸には凌雲徹が如懿を救った光景が焼きついて離れません。
如懿は凌雲徹をただの友として信頼し、疑念を否定しますが皇帝の心にはすでに影が差していました。
調査が進むうちに豫妃と寒部との関わりが明らかになり、彼女は一時謹慎を命じられます。
永璂の心に残る痛み
永璂は事件の恐怖を抱え、心に深い傷を残します。如懿と皇帝の間には冷たい沈黙が続きました。
愉妃は和解を勧めますが、如懿は静かに首を振ります。
一方の凌雲徹もまた、如懿を守りたい思いと距離を置くべき理性とのあいだで苦しみます。それでも炩妃の挑発にも屈せず、忠誠を貫こうと心を固めるのでした。
如懿伝76話 ネタバレ:流言の宮廷、疑念の愛
要約
如懿と凌雲徹の潔白をめぐる流言が宮中に広がり、皇帝の嫉妬と猜疑が決定的な断絶を生むのでした。
流言の発端と皇帝の疑念
木蘭囲場から戻った如懿はまだ心の整理がつかず、庭園を静かに歩いていました。そこで容嬪と出会い、彼女の寒部への郷愁を聞きながら遠い故郷を想う気持ちを分かち合います。でも、その穏やかな時間は長くは続きませんでした。「如懿と凌雲徹が密かに想い合っている」という流言が、宮中に広まったのです。
愉妃は噂の広がりを恐れ、凌雲徹を守るために炩妃との旧交を明かそうとします。しかし如懿は「彼を巻き込むわけにはいかない」と静かに拒みます。
やがて李玉から、凌雲徹が御前勤務に移されたと知らされます。如懿はその瞬間、皇帝の胸の奥に疑いの影が差したことを悟りました。
炩妃・豫妃の陰謀
その流言の裏では、炩妃と豫妃が進忠の指示を受け密かに策略をめぐらせていました。豫妃は謹慎を解かれるやいなや、茂倩(凌雲徹の妻)を伴って養心殿に乗り込みます。そして如懿と凌雲徹の密通を告発したのです。
茂倩は嫉妬と不安に押され、凌雲徹が夢の中で如懿の名を呼んだ日付まで語りました。さらに証拠として、如懿の刺繍入りの靴を差し出します。しかし如懿はその刺繍が惢心の手によるものだと穏やかに指摘、毓瑚の確認によって、潔白が明らかになりました。
怒った皇帝は豫妃を慎刑司に下し、凌雲徹には茂倩との離縁を命じます。事件は一応の終息を見せたものの、皇帝の心にはなお疑いが残ったままでした。
皇帝と如懿、修復不能の溝
如懿は「凌雲徹の忠義は職務です」と静かに訴えます。けれど皇帝は「だからこそ不自然だ」と冷たく言い放ちました。愛するがゆえに信じられない。その矛盾が二人の心を引き裂いたのです。
如懿は涙を見せずに立ち去り、皇帝は思わず引き留めようとします。しかし、その背中はもう振り向きませんでした。
二人のあいだに生まれた溝は、もはや埋めることのできないものだったのです。
如懿伝77話 ネタバレ:凌雲徹が宦官になる
要約
凌雲徹が宦官として如懿の前に現れる。皇帝の嫉妬は狂気へと変わり、如懿の信念は完全な孤立を迎えます。
皇帝の疑念と海蘭母子の葛藤
如懿の潔白が証明された後も、皇帝の胸中に疑念は消えませんでした。
海蘭は息子・永琪を責め、「姉のような如懿を見捨てたのか」と激しく叱責します。永琪は「今は皇帝の怒りが頂点、助けることは火に油」と弁明するも、母の怒りを鎮められません。
宮廷の中で誰も如懿を守れず、忠義よりも保身が優先される空気が支配していました。
皇帝の「贈り物」
ある日、進忠が如懿に豪華な贈り物を届けます。真珠の龍華、白磁の瓶、対の如意――すべて「成双成対」と強調される意味深な品々。
そして最後に運ばれた“贈り物”は、去勢され宦官となった凌雲徹でした。
如懿の表情は凍りつき、凌雲徹は膝をつき「奴才」と名乗ります。皇帝は彼を「翊坤宮付きの宦官」に任じ、如懿の監視役として差し向けたのです。
愛の崩壊と沈黙の夜
食卓では、皇帝がわざと如懿の嫌いな料理を並べ、「凌雲徹に給仕させよ」と命じます。
如懿は屈辱を飲み込み、皿を口に運ぶも喉を通らず。皇帝は「給仕が悪い」と凌雲徹を叱責し、さらに如懿に一夜を共に過ごすよう迫りました。
如懿は背を向け、沈黙のまま抵抗。皇帝が腕を掴み強引に振り向かせる場面は、愛の形骸化を象徴する冷酷な演出です。
翌朝、皇帝は如懿を避け、李玉に着替えを任せて去ります。残された如懿の眼差しは、哀しみよりも“決意の無表情”でした。
凌雲徹の受難と香見の直言
嬿婉が訪れ、如懿を嘲るように「あなたが彼を不幸にした」と言い放つと、如懿は「豫妃を操ったのはあなた」と怒声で返し、背を向けて去りました。
凌雲徹はもはや感情を失ったように静かに花を整えるだけ。忠義が罪とされ、人格が奪われた象徴のようです。
一方、寒香見は皇帝に直言し、「陛下は如懿を愛していない。ただ己の面子を守りたいだけ」と厳しく非難。皇帝は言葉を失い、沈黙しました。
如懿伝78話 ネタバレ:十二皇子が如意と凌雲徹の幻覚を見る
要約
嬿婉が幻覚の毒を用い、十二阿哥に「如懿と凌雲徹の密通」を見せかける
疑念の再燃
永琪は弟・永璂を迎えに行き、母・如懿への流言を否定し励まします。しかし永璂は「それほどの噂があるのに、なぜ父は凌雲徹をそばに置くのか」と首を傾げます。皇帝の真意を理解できない息子の純粋な疑問が、次なる悲劇の伏線となります。
宦官・進忠は凌雲徹を公然と侮辱、屈辱の中で彼の「沈黙の忠義」が際立ちます。如懿もまた凌雲徹が距離を取ろうとしていることを理解しつつ、彼の行く末を案じていました。
皇帝の静かな罰
皇帝は芝居『牆頭馬上』を再び上演し、凌雲徹を給仕として傍に侍らせます。如懿はその意図を悟りながらも、かつて皇帝と恋に落ちた頃を思い出し心中に複雑な痛みを抱きます。
翌日、皇帝は凌雲徹が宝物を盗んだと告げ、掃除係に降格。しかもそれを「如懿の気分を晴らすための好意」と言い放ちます。如懿は一言も反論せず、皇帝が去った後、静かに茶碗を叩き割りました。
嬿婉の再策動
一方、嬿婉は十六阿哥を出産するものの、太后の命令で子を奪われ怒りを爆発させます。「皇后が太后を操って子を奪った」と信じ込み、如懿を葬り去ることを誓いました。進忠は再び陰謀を授け「幻覚によって十二阿哥に“罪の証”を見せる」計略を提案。
春嬋の伯母が毒キノコ(野蕈)で死んだことを聞いた嬿婉は、春嬋に命じてそれを採取させます。そして十二阿哥の食膳に仕える宦官にその毒を混ぜた肉を与えさせました。
幻覚の罠
御花園で如懿と凌雲徹が偶然出会い、短く言葉を交わします。その瞬間、毒の効果が出始めた十二阿哥・永璂は凌雲徹が如懿に花を手渡す幻覚を見てしまいます。
現実には何も起きていないのに、永璂の瞳には“抱き合う二人”の姿が映っていました。
錯乱した永璂は叫びながら逃げ出し海蘭の宮殿へ。そこに皇帝と嬿婉が現れ、事情を問いただすとそばの宦官が「十二阿哥は如懿と凌雲徹が抱き合うのを見た」と報告します。
嬿婉の罠が、ついに皇帝の心に決定的な亀裂を刻むのでした。
感想・考察
凌雲徹:忠義が屈辱に変わる瞬間
凌雲徹(りょううんてつ)は、もともと正義感が強く、真っすぐな侍衛として描かれています。如懿に対しても常に敬意を持ち、純粋な想いを抱き続けていました。
ところが、皇帝の疑念を晴らすために「宦官」として再び如懿の前に立たされることになります。これは、肉体的にも精神的にも非常に残酷な処罰でした。
彼の言葉「この措置が皇上の疑念を晴らすなら本望」という一節には、単なる忠誠ではない、深い覚悟が感じられます。それは主君への忠義であると同時に、如懿を守るために自らの尊厳を犠牲にする行為でもありました。凌雲徹にとっては、もはや命よりも「如懿の清白」の方が大切だったのでしょう。
しかしその忠義は、皮肉にも皇帝の手によって最も屈辱的な形で踏みにじられてしまいます。彼を「宦官」として生かすことは、男としての存在を奪い、如懿との絆を象徴的に断ち切ることを意味していました。皇帝は、二人の間にあった目に見えない絆を、制度と肉体の両方から引き裂いたのです。
この場面は、忠義が美徳から呪いへと変わる瞬間でもあります。凌雲徹の沈黙には、愛を守り抜いた誇りと、すべてを奪われた無念が静かに宿っているようです。
歴史・文化の解説
侍衛が宦官になることはあったのか?
清朝の宦官制度では、通常は自発的な去勢による入宮が原則で、刑罰としての去勢は極めて稀でした。
如懿伝77話 では、皇帝の怒りを買った侍衛・凌雲徹が宦官にされました。でも史実ではありえない演出です。
実際の清朝の制度では去勢は基本的に刑罰ではなく、自発的な入宮のための手段でした。宦官は主に貧困や身分上の理由で家族が自ら子を去勢し、内務府に登録して宮中奉仕させる形が一般的です。
清律(大清律例)では「宮刑(去勢刑)」は正式な刑罰から除外されており、去勢を罰として科す規定は存在しません。もっとも、例外的に叛乱者や重罪人の子弟を去勢して宦官にした記録が18世紀末以降に見られます。たとえば林爽文の乱(1786年)の後、反乱者の少年を去勢して北京に送るという処分が行われました。これは法定刑ではなく、皇帝裁量による懲罰的処置でした。
なのでドラマのように「忠臣を辱めるための去勢刑」が制度的に存在したわけではありませんし。乾隆帝がそれを行ったこともありません。
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